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ボランティア活動で大切なこと

☆5年前の出来事から・・

5年くらい前になるかな・・、ボランティアの集まりで感じたこと。
ボランティアサークルの会議の中で、サークルの活動方針について話している時でした。


☆言葉にならない想いを読み取ること

サークルの活動方針をたてる際に、個人個人のやりたい事を大事にしながら活動内容を毎回決めているわけですが、この日、会合に初参加してくれた学生さんにアンケートという形で取り組みたいことを書いてもらいました。
その学生さんは東日本大震災へのボランティアについて○をしていて、他の項目には特に触れていませんでした。

アンケートだけを見ると、この初参加の学生さんは、東日本大震災へのボランティア以外に興味がなさそうにとれますが、この学生さんにいろいろ話を聞いてみると、実際には、東日本大震災とは直接関係のない、自身の就職への不安だったり、生活保護を受給している人たちの生活の困難さに思いを馳せていることがわかりました。

後日、その時に一緒に参加していた私の後輩と一緒に、その初参加した学生さんと再度話をする機会がありました。
その際、後輩はその初参加の学生さんの話をとても良く聞いていて、活動方針を作っていく際に、学生さんの話していた就職難の問題や生活保護受給者の生活苦の問題などへの関心を尊重していくことの大切さを語っていました。

その後輩の姿を見て、書かれたアンケートの内容だけにとどまらず、学生さんが語っていた言葉から、活字にはならなかった要求が存在していることを見出し、かつ尊重しようとする後輩の丁寧なまなざしにとても感動したことをよく覚えています。


☆各人の固有の悩みや葛藤に寄り添うことで個々の本当の成長が

私はこの経験から、人と何かを為していく際には、物事を実践していく”当事者”の想いを尊重しながら、取り組む視点の大切さを改めて実感しました。

例えば、”東日本大震災へのボランティアをしよう”といって反対する人は誰もいないでしょう。東北をはじめとする復興支援ボランティアに取り組むという大義について疑う人は誰もいないであろうからです。

ただし、実際にそれを実行する際に全ての人が参加するかといえば、必ずしもそうとは限らない。いくらボランティアのサークルに所属していると言っても、東北の地に行くことへの抵抗感だったり、生活の都合であったり、余裕がなかったり、経済的な負担なども含めて、それぞれが特有の葛藤や困難を抱えていることが考えられるからです。

だからこそ、その集団の中において、「東日本大震災のボランティアに取り組もう」という提案について、実現していくためには、初参加の学生さんの不安や葛藤・要求をはじめ、個別のそうした想いに注目しようとした後輩の視点は大切だと思います。
それぞれが抱える固有の想いに寄り添うことで初めて、”ボランティアに参加しよう”という各人の主体性が生まれるし、この主体性に依拠することで、集団の中で提起された目的は実現できるし、かつ個人の本当の成長も生まれるのではないでしょうか。

このように、若者のサークルなどに一番求められていることなのは、若者自身の個別の要求に寄り添いながら実現し、それぞれが成長を実感できる場であることではないかと思います。


☆大義を掲げて強制する手法

そうした視点が抜け落ちて、サークルの運営上の都合などを優先させてしまうと時におかしなことが起こります。

例えば、
ボランティア = 絶対に必要なこと = 全員参加でやりましょう

こんなようなロジックで、取り組みを強制するようなことって結構あるのではないでしょうか。

取り組み自体に大義があるからということで、なにか強制感を帯びてしまっている。
大義を優先し、それを実践する当事者の想いや様々な不安や葛藤に目をむけずに行動に移すのであれば、表面的にはその取り組み自体は成功したようにみえるかもしれませんが、それを実践した当事者の中にいったい何が残るでしょうか。かとないわだかまりや、不満に裏打ちされた疲労感だけになるかもしれません。


☆当事者の自主性・自発性をいかに引き出すか

多くのボランティア活動に言えることですが、ボランティア(Volunteer)という言葉自体”自発的”という意味を持つように、ボランティア活動が成功する鍵は、構成員の自発性・主体性をいかに引き出すかということ。
そして継続的にボランティアに参加してもらうためには、そこに参加する当事者が参加する中で具体的な魅力や個人の成長を実感できるような取り組みにしていくことが必要不可欠です。


だからこそ、当事者の固有の想いに寄り添うことなしに本当の主体性というものは生まれないし、主体的にかかわろうとしない当事者に不信感を募らせ、権威的に”大義”を押しつけるようなやり方では、短期的には上手くいったとしても、長期的にみればその集団に未来はありません。


「ボランティアにかかわりたいという人が抱えている、「本当は何かしたいんだけれど、でも実際参加するのは大変そう・・」というような想いにいかに応えていけるかどうかというところにこそ、ボランティアの運営に携わる人の専門性が問われます。

きっと前述の後輩は、こうした視点をしっかりもっていたのでしょう。
私自身こうした視点を忘れず、今後も取り組んでいきたいなと思います。

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