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山梨県知事選挙2019の結果について(memo)

山梨県知事選挙2019の結果(memo)


1、投票状況

 ・総投票数:401,447票(無効:3,068票/有効:398,378)
(前回:288,790票/112,657票↑)

 ・投票率 :57.93%(前回:41.85%/16.08%↑)

 
2、得票状況

 ・長崎幸太郎 得票数:198,047 得票率:49.7%《当》
 ・後藤 斎  得票数:166,666 得票率:41.8%
 ・米長晴信  得票数: 17,198 得票率: 4.3%
 ・花田 仁  得票数: 16,467 得票率: 4.1%

 《政党の推薦状況》
 ・長崎幸太郎:自民・公明
 ・後藤斎  :立憲民主・国民民主
 ・米長晴信 :推薦なし
 ・花田仁  :共産


3、出口調査の結果より

https://www3.nhk.or.jp/lnews/kofu/20190127/1040005441.html

(1)NHK 回答数:2,692名

①普段の支持政党
自民46% 立憲民主:11% 国民民主:3% 公明:3% 共産:3% 無党派:30%

②候補者×支持政党別の得票割合
 ・長崎幸太郎 自民:70%前半 / 公明:80%前半   / 無党派:30%後半
 ・後藤斎   立憲:80%前半 / 国民民主:80%前半 / 無党派:50%
 
③その他
 18・19歳の年齢では、長崎氏が40%半ば、後藤氏が40%前半の支持。


(2)朝日新聞 回答数:2,741名

https://www.asahi.com/articles/ASM1W5K7YM1WUZPS001.html

 ①候補者×支持政党別の得票割合
 ・長崎幸太郎 自民:71% / 公明:74% / 無党派:39%
 ・後藤斎   立憲民主:83% / 無党派:52% 自民:24% 公明:19%


4、直近の国政選挙との比較

今回の知事選挙と直近の国政選挙を比較。

2017年衆議院選挙では区割が存在するため比較が困難。よって以下のア~ウの3点により、2016年の参議院選挙(小選挙区)との比較を試みる。

ア)総投票数・投票率が近似
・どちらの選挙も総投票数が40万、投票率が58%前後とほぼ同一

イ)立候補状況の類似性
・どちらの選挙も立候補者が4名。

ウ)選挙の構図の類似性
・自公推薦VS民進(立憲・国民)VS米長という構図はどちらの選挙においても同一。差異は参議院選挙では民進候補を支持し、知事選では独自候補を擁立した共産党の動向のみ。

※このため、2つの選挙における得票数と得票率は特に加工することなく、そのまま比較可能と思われる。


まず、最初に下記の通り2016年参議院選挙(小選挙区)の概要について

《2016年参議院選挙(小選挙区)の結果の概要(2016年7月実施)》

〇投票状況
 ・総投票数:415,188票
 ・投票率 :58.83%

〇得票状況
 宮沢 ゆか 得票数:173,713 得票率:43.0%《当》
 高野つよし 得票数:152,437 得票率:37.8%
 米長晴信  得票数: 67,459 得票率:16.7%
 西脇 愛  得票数: 10,183 得票率: 2.5%

〇《政党の支援状況》
 ・宮沢 ゆか:民進・共産・社民
 ・高野つよし:自民・公明
 ・米長晴信 :推薦なし
 ・西脇 愛 :諸派(幸福)

 〇出口調査の結果の概要(山梨日日新聞)
 ※データの原本が見つからなかったため、以下のBLOGOSにおける赤池まさあき氏の記事から引用(https://blogos.com/article/184060/

[支持政党×候補者別得票割合]
・自民党支持層 宮沢ゆか:15% 高野剛:71% 米長晴信:13%
・公明党支持増 宮沢ゆか:22% 高野剛:48% 米長晴信:20%
・支持政党無増 宮沢ゆか:54% 高野剛:16% 米長晴信:26%

以上、2016年参議院選挙の結果の概要。


以下、2つの選挙結果の比較から明らかになった点について列挙

(1)“自民分裂選挙”の影響

 2つの選挙における自民候補者の自民支持層からの得票割合。
・2016年参院選 高野 剛  自民支持層から71%の得票
・2019年知事選 長崎幸太郎 自民支持層から71%の得票

 ということで、いずれの選挙もそれぞれの選挙における自民支援の候補者が、自民支持層から得た得票割合は71%で全く同率であり、“自民分裂”が今回の知事選において特別に不利に影響したという有意性は”結果的”には見受けられない。


(2)共産党が“野党共闘”を見送ったことの是非の影響

 ①2つの選挙における“野党共闘”候補者の無党派層からの得票割合

 ・2016年参院選 宮沢ゆか 無党派層から54%の得票
 ・2019年知事選 後藤 斎 無党派層から52%の得票

 ※注1)2016年は赤池氏のBLOGOSの記事、2019年は朝日新聞の出口調査から引用。
 ※注2)共産党は2016年では宮沢ゆか氏を支援。2019年は野党共闘見送り、無党派層からの得票割合のデータはなし。

 ということで、2つの選挙における野党共闘候補者の無党派層からの得票割合の差はわずか2%であり、得票数に換算すれば(総得票数:約40万×うち無党派層30%×2%)約2400票であり、大きな差異はみられない。


 ②2つの選挙における野党支援候補者の総得票数
 ・2016年参院選 宮沢ゆか 173,713票 得票率:43.0%

 ・2019年知事選
後藤 斎 166,666票 得票率:41.8%
花田 仁  16,467票 得票率: 4.1%

  計 183,133票 得票率:45.9%

 と、2つの選挙における、野党支援候補全体として獲得した総得票数と総得票率を比較すると、2016年の参院に比べて2019年の知事選においては、総得票数を9,420票、総得票率は2.9%それぞれ伸ばしている。

以上①・②の数字からも明らかなように、2019年知事選において野党候補は全体として総得票数・総得票率いずれも伸ばしており、かつ、それぞれの選挙の共闘できた野党共闘候補自体の無党派層からの得票率(52-54%で)も大きな差異は見られない。

よって、今回の知事選において共産党が野党共闘を見送ったことにより、野党自身、また“野党共闘”が有権者から見放されたという事実は数字上全く見受けられない。


(3)共産党の得票動向について
 2つの選挙における共産党の得票動向について
 2016年参院選(比例)36,357票
 2019年知事選    16,467票
 と大きく得票を減らしている。

 2つの選挙において、野党支援候補全体の総得票と総得票率はいずれも伸ばしているのにも関わらず、共産党単独では得票数・得票率をいずれも大きく減らしているので、相当数の共産党支持者が今回、後藤斎氏に投票した可能性が高く、立憲民主・国民民主の2党における“野党共闘”に期待した可能性が高い。


(4)今回の知事選における数字上での自公支援候補の勝因

 《2つの選挙における自公支援候補者の得票状況》
 2016年参院選 高野つよし 得票数:152,437 得票率:37.8%
 2019年知事選 長崎幸太郎 得票数:198,047 得票率:49.7%
 
 2016年参院選の時と比較して、2019年知事選の方が、自公支援候補者は、得票数・得票率共に大きく伸ばしている、この要因は何なのか?

① 2つの選挙における自公支援候補者の公明党内での得票動向
2016年参院選 公明党支持者のうち48%が自公支援候補の高野剛氏に投票。22%が野党共闘候補者(宮沢ゆか氏)に投票。

2019年知事選 公明党支持者のうち74%が自公支援候補の長崎幸太郎氏に投票。19%が野党共闘候補者(後藤斎氏)に投票。

(※注 2016年参院選はBLOGOSの赤池氏の記事、2019年知事選は、朝日新聞の出口調査から引用。)

よって、公明党支持層の26%もの人が、2016年には自公支援候補以外の候補者に投票していたが、今回の2019年には自公支援候補者に投票したことが明らかに。
(※注1 概算で言えば、総投票数40万×公明党支持層3%×26%=3,120票程)
(※注2 公明支持層からの2つの選挙における野党共闘候補者への投票割合については、参院選が22%、知事選が19%とそれほど差はない。実数では360票程)

つまり、2016参院選と比較して、公明党支持層のうちおよそ26%=3,120票もの人が今回の知事選では自公支援候補である長崎幸太郎氏に新たに投票した。


② 2つの選挙における“無党派層”の自公支援候補への投票動向

2016年参院選 高野剛氏は無党派層の16%から得票
2019年知事選 長崎幸太郎氏は無党派層の39%から得票
※注)2016年は赤池氏のBLOGOSの記事、2019年は朝日新聞の出口調査から引用。

つまり、自公支援の候補者は2016年参院選では、無党派層の16%からしか支持を得られなかったが、今回の知事選においては、39%もの無党派層から支持を集め、約23%もの無党派層から今回新たな支持を獲得している。
(概算すると、総投票数40万×無党派層の割合=30%×23%=27,600票)

よって①・②より、今回の知事選挙において、自公支援候補は、2016参院選と比較して公明支持層と無党派層の新たな取り込みに成功し、得票数では(3,120票+27,600票)30,720票もの上積みに成功した。


③ その他
あと、気になるところでは、米長晴信氏が2016年参議院選挙と比較して今回の知事選では5万票近く得票を減らしている。米長氏は旧民主党出身だが、政治連盟は自民党系のところに所属しており、保守の政治家でありますが、与党系か野党系かどちらかいずれとも言い難い人物。

 また、自公・野党以外の支持層、具体的には維新支持層などについてですが、そのほとんどが自公支援の長崎幸太郎氏と立憲・国民支援の後藤斎氏で票を分け合う形になった可能性が高い。
また、それぞれの支持層以外の部分での票の伸びがやや長崎氏の方が高いので、この部分(米長晴信氏の過去の支持層と自公・野党以外の支持層)の有権者については、長崎氏の支持に傾いたと思われる。


5、まとめ

以上の結果をまとめると

(1)今回の知事選における“自民分裂”の影響は”結果的”にはみられない。

(2)共産党が今回の知事選において“野党共闘”を見送ったことによって、得票を見た限りでは、野党に不利な影響があったようには思われない。むしろ野党支援候補の獲得した総得票数・総得票率では、共産党を含む“野党統一候補”を擁立してたたかった2016年参院選よりもともに伸ばしている。

(3)しかし共産党単独でみると、今回の知事選挙において共産党支持者の相当数が、立憲・国民による2党の野党統一候補であった後藤斎氏に支持が流れた可能性が高い。

(4)一方で、今回の知事選挙において、自公支援候補は、公明党支持層と無党派層から新たに多くの有権者の支持を獲得することに成功した。

(5)とはいえ、無党派層の支持は、後藤氏(52%)と長崎氏(39%)と13%もの差があり、朝日新聞出口長調査より)、野党候補の方が圧倒的に多数であり、そのため今回の知事選挙において自公支援の長崎氏が勝利したとはいえ、幅広い有権者に自公勢力が支持されているとは言い難い。


ということで、改めて今回の山梨県知事選挙においては、自公支援候補である長崎幸太郎氏の勝利について、“自民分裂の影響”を結果的には克服し、参院選(2016)と比較しても公明党支持層と無党派層の広範な部分に食い込みあたらな支持の獲得に成功したということが、数字上では大きな要因。

また、野党支援候補については、今回共産党が野党共闘を見送ったことについては、選挙戦において不利に働くことはなかったが、共産党自身については、今回の知事選において独自候補を擁立した意義が有権者になかなか浸透せず、結果的に支持層の相当数が、立憲・国民の野党2党による”野党共闘”候補である後藤斎氏に流れてしまった可能性が高い。

しかし、今回の知事選挙において共産党が野党共闘を見送った判断は妥当。理由は以下のURL
https://alter-dairy-of-life.blog.so-net.ne.jp/2019-01-22

共産党は独自の支持は減らしてしまったけど、今回の知事選で野党が擁立した候補者は全体として総得票数・総得票率は、共産党を含む野党統一候補を擁立した2016年の参院選よりもいずれも伸ばしており、今後の野党共闘のたたかいにとっては明るい材料を獲得することができた。

一方、自公勢力は無党派層の獲得において野党勢力に大きく差をつけられており、今回の知事選挙においても幅広い有権者に自公勢力が支持されているとはとても言い難い状況であることが明らかになった。

4月の一斉地方選挙、7月の参議院選挙の前哨戦として注目された今回の知事選挙。
自公勢力が勝利したとはいえ、その勢いが決して盤石のものではないこと、また野党共闘への有権者の期待の高さも同時に明らかになった。

だからこそ参議院選挙で、共産党を含む野党共闘が実施されれば、多くの有権者の支持が野党共闘候補に傾く可能性があり、十分勝利も可能であるという『希望』を示した選挙でもあった。

《追記 1月29日》
(参議院選挙で野党共闘の期待度でを無党派層へ訴えることで、できればそこで7割に迫れれば。野党2割↑、与党1割↓でおよそ36000票なので今回の与党と野党の力関係はひっくり返る。無党派層の比率で与党:野党=7:3の力関係が理想。さらに今回棄権した層の新規獲得ができれば、この割合はもっと低くても大丈夫。いずれにせよ、これから3ヶ月の間に、無党派層、棄権層にどれだけ野党共闘の期待度を高めていくアピールができるか。その点で1月28日の参議院の1人区での野党共闘実施の公式発表は良い時期の発表だったと思う。)

また、共産党が今回野党共闘を見送ったことで、安倍政権に対峙する姿勢を前面に押し出して政策論戦を展開することができた。こうした政策論戦や宣伝が、4月の一斉地方選、また7月の参議院選挙において、大いに生きてくるはず。今回の共闘見送りはそうした積極的意義があった。


また、上記の分析以外のところで、18・19歳の投票動向のところでは、この世代の9割近くが長崎幸太郎氏と後藤斎氏に投票しており、お互いほぼ40%半ばで票を分け合う結果となっている。

特に支持団体などの所属のあるはずのない、18・19歳の若年層のところの選択肢が、長崎氏・後藤氏の2択になってしまっていたことについて、もう少し詳細な検討が必要かも。SNS関連などのメディア対策に関する部分もこの世代に関しては大きな影響を及ぼしたのでは。

その意味で、花田仁氏の応援動画が4回にわたってUPされたのは、とっても今後における好材料。
今回の知事選では、各候補とも、山梨県内でSNSを使った個人的・組織的宣伝がこれまでになく多かったた印象。7月の参院選でも他候補が重視する可能性高い。



※以上、今回の山梨県知事選挙についての私見となります。

私自身、既に山梨にいませんし実際に選挙戦をたたかったわけではありません。
ここに書かれていることは、報道やSNSを見た限りでの私の考えのmemoなので、文体も整っていませんし、文脈も乱雑なままなので、非常に読みづらいものとなっていますが、何卒ご了承いただけたらと思います。

いつどこの選挙戦においても、一番重要なのは実際に選挙戦をたたかった方々こそが知る、有権者の生の声、リアルな印象、選挙戦を通じて起こった数々のドラマ的な体験です。
そうしたものの積み重ねこそが一番の財産であり、最も共有されなければならないものだと思います。
今回、私はそうしたものを知ることができる立場ではありませんが、選挙に取り組まれた方々に中にそうした貴重な経験がたくさん生み出されていることを心より願っています。


最後に、今回の山梨県知事選挙をたたかわれた皆さん、本当にお疲れ様でした。




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とも

2019年1月30日 特集記事 富士山麓に雪どけ来るか

堀内票は何処へ?

開票の結果、長崎が、現職の後藤に3万票あまりの差を付けて初当選した。完勝だった。

堀内を支持してきた有権者は、どのように動いたのか?。

NHKの出口調査の結果から分析した。

前回の衆院選山梨2区で堀内詔子、長崎幸太郎にそれぞれ投票した人に、知事選での投票先を聞いた。


衆院選で長崎に投票した人の90%近くは、今回も長崎に投票していた。
一方、衆院選で堀内に投票していた人は、「長崎」と答えた人が約60%、「後藤」と答えた人が約35%だった。
堀内支持者のうち、3割あまりは後藤に流れたが、6割は長崎に投票したのだ。
得票を見ても、長崎と堀内が争ってきた山梨2区の地域では、長崎が4万のリードを奪い、戦略通り、ここで勝負を決めた。

富士急行関係者は「堀内票のうち50%は後藤に入ると予想していた。思っていた以上に後藤に流れなかった。2区であんなに差が付くとは」と振り返った。

また自民党県連幹部も「堀内票のうち6割も取れたなら御の字だ」と満足げに語った。

当選した長崎は「みなさんが問題意識を共有し、大同団結した結果だと思う」と、一枚岩で戦った成果だと強調した。
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/13532.html
by とも (2019-02-02 23:15) 

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