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未就労者の実態と”意欲の貧困”(1)

☆はじめに

 2つ前の記事で「生きる意味」というテーマでブログを書きました。

 なぜ、このようなテーマで記事を書いたのかといえば、「生産活動に携わっていない人間は価値がないのか?」という素朴な疑問を私が感じていたことがきっかけでした。

生産活動に携わっていない人というのは、一言でいえば、働いていない人、未就労者とも言い換えることができると思いますが、人間にとって働くことの意義を否定するつもりは毛頭ないにせよ、現代社会では、就労というものをあまりにも絶対視しすぎているのではないかと思うのです。

この世の中には、病気や障害のために人並みに働けない人たちが存在しますし、そして就労という形でなくても社会的に有意義な取り組みをしている人たちもたくさん存在します。

就労の是非だけに過度に価値を置きすぎてしまうと、他に見なくてはいけないものが見えなくなってしまう、そんな気がするのです。


☆未就労者に対する視線が厳しくなっている時代


そうした私の想いとは逆行する形で、現代日本において、未就労者に対する視線は厳しさを増しています。

特に2004年頃、未就労で就職活動も就学も職業訓練も受けていない若者に対して「ニート」という言葉が玄田有史氏によって生み出され、巷では”ニートバッシング”ともいうべき若年無業者への辛辣なバッシングが行われました。

2004年といえば、イラク人質事件が発生し、拘束された3人に対して政府が「自己責任だから」と突き放す態度をとったことから、日本中で「自己責任論」のバッシングが行われるなど、日本中が自己責任的な風潮へ突き進んでいった時代でもありました。

あれから10年以上の年月が経った今、世間での自己責任的な風潮はいっそう強まり、未就労者への視線も厳しさを増しています。
 

☆未就労者は働く意欲がないわけではないという対抗言説

 こうした未就労の若年無業者に対して、「甘えている」「怠惰」などのの自己責任論的なバッシングが強まる中で、これらのバッシングに対抗する運動側の言説として一般的だったのは、「そもそも働き口がないのでは?」といった、未就労者の増加の原因を社会構造に帰する論理でした。

事実、先述した玄田氏が2004年に出版した「働く過剰」では、2002年において、15歳〜34歳の未婚無業者数214万人の内、実際に就職活動をしている若者は129万人(60%)であり、就業を希望しつつも職探しをしていない若者は42万人(20%)と、就業を希望している割合は実に8割以上であり、若年無業者の8割は、就労を希望していたことが明らかとなっています。

8割もの若者が就業を希望しているのに、実際に働けていないというのは、まさに彼らや彼女らが就業機会に恵まれていない、つまり未就業者がこれだけ多くなっている問題は、そもそも働き口が存在していないという社会構造にこそ問題の本質があるというのは明らかでした。


☆対抗言説だけではカバーできないゾーンにいる若者たち


あれから10年超。現在では状況はどう変化してきたのでしょうか。

2015年の全国就業機会パネル調査では、15歳〜34歳の未婚無業者数137万人のうち、実際に就職活動をしている求職型は65万、就業を希望しつつも就職活動をしていない非求職型は12万人、就業を希望していない非希望型は60万人となっています。

なんと非希望型について比較してみると、2002年と比較して絶対数が18万人の増、(42万人⇒60万人)、そして割合としても2割の増(2割⇒4割)と絶対数、割合ともに大幅に増加傾向となっていることがわかります。

このように、”非希望型”が絶対数・割合ともに増加しているという問題は、実はこれまでの「働き口が存在しない」という対抗言説でカバーしにくいという性質があります。

就業を希望していて、かつ実際に就職活動をしているのであれば、「実際に働き口が少ないのだから未就労でもしょうがない」という風に一般的にも納得しやすいですが、就職活動どころか、就業すら希望していないというのであれば、それこそ「自己責任」「甘え」「怠惰」だという烙印を押されやすく、運動側に属する人の内部でもそうした思いを持つ人が一定数存在するからです。

だからこそ、この”非希望型”の若者をどう捉えるかという視点こそが、今運動側に属する人間にとって大きな課題となっているのだと思います。

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LouiseMaxwell

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by LouiseMaxwell (2018-11-20 07:15) 

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