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沖縄県民投票と”ハンガーストライキ”

★沖縄県民投票をめぐるこれまでの経緯と現状

 来月2月24日に沖縄県において「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票」(以下、“沖縄県民投票”)の実施が予定されています。この沖縄県民投票に関して、これまでに沖縄県の5市(宜野湾・宮古島・沖縄・石垣・うるま)が不参加を表明。結果的に現状では沖縄県民の約3割が投票権を行使できないこととなり、“参政権の侵害”ということで全国的に話題を呼び大問題となっています。

 もともとこの沖縄県民投票は、2018年5月に、元山仁士郎さんが代表を務める「辺野古県民投票の会」が県民投票実施に向けた署名集めを開始し、同9月に住民投票実施に必要な有権者数の50分の1(約23,000筆)を大きく超え、約4倍にあたる92,848筆の署名を集めて県議会へ条例案を提出し、直接請求したことがきっかけでした。
 
 その後、同10月に沖縄県民投票の実施案は賛成多数で沖縄県議会で可決され、今年の2月24日の実施が決定していました。
 

沖縄県民投票不参加に対する“ハンガーストライキ”

 こうした中で、「県民投票の会」代表の元山さんは、沖縄県民投票に対して不参加を表明した5市に対して正当に申し入れをしましたが受け入れられず、最終手段として、1月15日の朝8時から宜野湾市役所前で“ハンガーストライキ”(以下、“ハンスト”)に突入することとなりました。この記事を書いている1月19日現在、元山さんのハンストは5日目に突入しているわけですが、“ハンスト”により水と塩の摂取のみで過ごしている元山さんの体力は確実に奪われてきています。元山さんの身に、もしものことが起きることのないよう、心よりお祈りしています。


★“ハンガーストライキ”なるものについて

 ところで、“ハンガーストライキ”というのは、一言でいうと“断食をすることによる示威行動”です。歴史的にはマハトマ・ガンディーが始めて行ったとされますが、日本においては安保法案をめぐって2015年に学生が国会前で行ったことが、皆さんにとっては記憶の新しいところであるかもしれません。

 私自身、沖縄県民の意思表示の機会を奪う5市の首長、そしてそれを裏で手をひいている政権与党については全くもって、怒り心頭なのですが、こんなことを述べながらも非常に書きにくいことなのですが、実は私自身“ハンスト”というものに関しては“否定派”なのです。

 なぜかというと、“ハンスト”というものは、断食を通じて行うために必然的に当事者の身体に悪影響を及ぼし、また場合によって“命”にかかわる行動です。実際に“断食を行っている人”と“示威行動を行っている人”が同一人物であるために、他者に対して危害を及ぼすものではありません。しかし、いくら他者に危害を及ぼさないとはいえ、自身というひとりの人間の“身体と命”を盾に行う示威行動は一種の“暴力”であり、“脅迫”に等しいものだと私自身考えています。だからこそ、私はこれまでもこれからも“ハンスト”なるものを認めるつもりはありません。


★沖縄県民投票への不参加は“参政権”の侵害

 しかし、私が“ハンスト”を認めないということが、同時に元山さんの行動を認めないことに繋がるかと言えば決してそうではありません。むしろ私は、元山さんのその決意と行動に対して心から応援し支持しています。なぜなら、元山さんが“ハンスト”を通じて要求しているものは、日本人として“至極まっとうな権利の保障”ということだからです。

 そもそも沖縄県民投票の実施については、誰から見ても正当な民主的手続きを踏んで決定したものです。正当な民主的手続きによって決定した沖縄県民投票において保障されたはずの住民の意思表示の機会が、時の権力者である各市の首長により強引に奪われてしまうのであれば、それは“参政権の侵害”以外のなにものでもなく、決して許されることではありません。


★元山さんはなぜ“ハンスト”をしなければならなかったのか?

 そもそも、なぜ元山さんは“ハンスト”という、一種の暴力ともいえる行動をしなければならなかったのでしょうか。

 K・マルクスは「時の社会的権力者の側からのいかなる強力的妨害も立ちはだからない限りにおいて、ある歴史的発展は『平和的』であり続ける」(マルクス・社会主義者取締法に関する帝国議会討論の概要から)と過去に述べたことがありますが、現代の日本のように議会制民主主義が確立した国においては、政治・社会変革はもはや基本的に“暴力”とは無縁のものとなっています。

 もし現在の日本において、“ハンスト”という方法とはいえ、平和的とは言い切れず、ある種の暴力性を含む示威行動をとらざるをえない状況が存在してしまっているのだとすれば、それは時の社会的権力者による”強力的妨害”がそこに生じてしまっているということに他なりません。

 今回の“ハンスト”の問題の本質は、元山さんの”ハンスト”という行動の是非ではなく、元山さんが「なぜ“ハンスト”という手段をとらなければならなかったのか」ということであり、それはまぎれもなく、“権力者の側が住民にとって当然の参政権を侵害しているから”ということに他なりません。沖縄の5市の首長、そしてそれを裏で糸を引いている政権与党の方々には、民主国家である日本において、“ハンスト”という手段を取らざるを得ないような状況に住民を追い込んでしまったという事実を深く恥じて欲しいと心から願います。


★沖縄県民すべてに意見表明の権利を。そして元山さんに一刻も早くあたたかい食事を・・

 そして最後に、沖縄県民投票に不参加を表明した5市の首長さんには、住民の方々に対して当たり前の意見表明の権利、参政権を保障してほしいと思います。そしてそれを一刻も早く実現し、そのことを通じて元山さんに一刻も早く温かい食事を食べてもらえるように行動を起こしてほしいと心から願います。


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