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バナナマン日村勇紀氏のスキャンダルについて(3)

3、 今後、日村氏にとって求められる対応について

(1)一刻も早く求められる行為への謝罪 

 この記事を書いている10月の時点で、すでに日村氏はTVやラジオの生出演の場で「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と、事実を認め謝罪の言葉を口にしています。
しかし、週刊誌の記事についてどこまでが本当なのか、そして被害者女性に対しての謝罪については明確には口にしてはいません。マスコミ報道も今回のスキャンダルについては既に鎮静化に向かっており、日村氏の処分についても全く何もされていない状況です。

 今後の事件の対応については、事実が本当なのであれば、被害者女性の快復を第一に考えて行われるべきだと思いますし、第一歩として、被害者女性への正式な謝罪こそがまず求められるべきだと思います。
 日村氏が自らの加害行為に対したしっかりと謝罪もせず、これまで通り何事もなく仕事を継続するのであれば、被害者女性にとっては事件の行為が世間から正当化されたように感じるでしょうし、全ての性犯罪被害者の傷をえぐることにもつながりかねません。

さらに、現在日村氏は乃木坂46という未成年の女の子も含むアイドルグループの“公式お兄ちゃん”としても活動をしているわけですが、信頼し共に活動してきた“お兄ちゃん”が実は未成年女性への淫行の加害者だったと知って、その衝撃はとても大きかったと思います。
日村氏が事件を起こしたことで一番罪深いことは、こうした未成年を含む全ての人間の安全と安心、信頼を損ねてしまったという事実なのではないでしょうか。

 
(2)日村氏にとっての唯一の生き残る道

 この現在の状況を日村氏が唯一改善できる道があるとするならば、“事件が16年前のもの”というその1点に尽きると思います。

 繰り返しになりますが、事件から16年が経過しているとはいえ、既に時効が過ぎ刑事罰の対象にはならないにせよ、日村氏が被害者の女性に犯した罪は何ら変わってはいないのです。
 しかし、もし日村氏がこの事件についてしっかりと謝罪をしたうえで、“16年前の自分と現在の自分は違う”という姿を世間に見せられるのであれば、日村氏の処遇といった点では改善される余地があると考えます。
 日村氏がこの16年の間に、過去の加害行為を悔い、決して同様な行為を犯さないと今現在考えており、今回の件についてもきっちりと被害者女性に謝罪をし、今後も適切な対応をとっていくと考えているのであれば、このまま仕事を継続していくことも世間的に容認されるかもしれません。

 日村氏がこの16年の間に、変化しているか否かについてはわかりません。しかし先程、乃木坂46の公式お兄ちゃんの話を出しましたが、バナナマンが乃木坂46の冠番組で司会を務める形で共演することになってから7年が経過しています。
 被害者の女性と同じ、未成年の女の子を含むアイドルの子たちが、懸命になって成長する姿を“公式お兄ちゃん”という形で目の当たりにする中で、いかに彼女らの存在が尊いかということについて実感させられたのではないでしょうか。
 そうした経験を経てきた現在の日村氏が16年前の日村氏とは違う存在になっているということに心から期待したいと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=OgD82WcmskI


(3)性犯罪をなくしていくために私たちができること

 そして、最後に私が述べておきたいのは、今回の問題は決して日村氏と被害者女性の関係だけに還元してよい問題ではないということです。

前のブログで紹介させていただいた、森田ゆり氏の性犯罪者の加害動機のところで、性犯罪というものは社会的・文化的環境に影響することが指摘されていました。
 日村氏が16年前に犯行に及んでしまった過程には、この社会における、例えば“ポルノの氾濫”、“男は強くあれ”という伝統的な価値観、“性犯罪の本質についての無理解”などなどの社会通念や環境が影響していたことは間違いないと考えます。

 私たちは、本当に性犯罪をなくしていくためには、こうした社会通念や環境を少しずつでも変えていく必要があるわけですが、とはいえ、長く広く蔓延していまっているこうしたものを一朝一夕で変えていくことはできません。
だからこそ、今回私がいまここで提案したいのは、まず“被害者へのバッシングをやめよう”というこ とです。
先に述べたように、性犯罪被害者に対してのバッシングというもとは、その傷をえぐるような非常に悪質な行為です。また、バッシングをすることで、そのこと自体が性犯罪を肯定することにつながりかねないこともあり、一刻も早くやめる必要があると思います。
  
 そして何より、こうしたバッシング行為の背景にも、前のブログで紹介したキル・マーティン教授の「悪い行動は、自らがパワーレスであることへの防御反応だ」という側面が含まれているのではないでしょうか。バッシングを加えることで、対象を貶め、自らの情緒的・精神的欲求を充足する。もし本当にそういう背景があるのであれば、バッシング行為自体も性犯罪と何ら変わらず悪行であり、その横行を許したままにするのであれば、世の中は悪行がさらなる悪行を生む負のスパイラルに陥るだけです。

 だからこそ、今回の日村氏の問題は私たち全体で考えて行かなければいけない問題だと私は考えます。改めて、今回の件で日村氏は被害者に対して真摯に謝罪をし、私たち自身が同様な事件を起こさないために、性犯罪の温床ともなるこの社会通念・環境について問題意識を持ち、認識を変えていこうとする人が一人でも増えることを心から願っています。





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バナナマン日村勇紀氏のスキャンダルについて(2)

2、 性犯罪の本質について

1で述べたように、未成年への淫行という重大な犯罪行為であるにも関わらず、加害者を擁護し、被害者にバッシングを加えるという逆転現象が起きてしまうのはいったいなぜなのか。私はその一つの理由に、現在の日本において性犯罪の本質に対する市民の認識不足があると考えます。この章では、性犯罪の本質、特に被害者に対してどれだけ深い傷を負わせる行為なのか、そしてこのような卑劣な行為が起きてしまう原因についても簡単に触れたいと思います。


(1)性犯罪によって被害者が被る傷

 まずは、性犯罪というものが被害者にどのような傷を負わせるものなのかということについてです。これは、実際に被害者の手記を読んでもらうのが一番だと思います。ということで、1997年11月に実際に起きた集団レイプ事件の被害者の手記についての記事を読んでいただきたいと思います。

https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20180501-00084681/

すでに事件から20年が経過していますが、被害者の女性はいまだに当時の傷に苦しめられています。

事件後、不眠、震え、記憶喪失、自殺未遂、集中力の低下、不明熱、リストカット、頭痛、吐き気、胃痛、耳鳴り、精神不安定、自尊心の低下と、列挙すればきりがなく、当事者の辛さを想像するのは非常に難しく、文章にするものためらわれる思いです。
「性犯罪は魂を犯す」と言われますが、まさしく20年前の事件の日に、この被害者の女性は“魂を侵された”のだと思います。


(2)性犯罪後も受ける被害者の傷(二次受傷)

 そしてもう一つ、性犯罪被害者にとって恐ろしいのが“二次受傷”と言われる、事件後の周囲の人々によって傷つけられる行為です。
 このことについて、臨床心理士の山田ゆりさんが、NEWSSALT編集部のインタビューに答えるかたちで指摘しています。

https://www.newssalt.com/27107

「性別を問わず性被害に遭った人たちは、それについて語ることに二重の障壁を感じていると思います。性的な被害に遭うということは、その人の尊厳や自尊心を踏みにじられることにほかなりません。このため、被害者が屈辱感、恥辱感を感じてしまい、『自分自身が汚された、傷ものになった』という感覚が生じて、自分自身を恥ずべきものだと思ってしまいます。これが第一の障壁であると言えます。

 そして二つ目の障壁となるものが、被害者が社会からも実際にそのように見られているという点にあります。そのことを被害者もわかっていますから、性被害に遭ったと訴え出ることで、自分自身が被害者であるにも関わらず、社会から非難を浴びることへの恐怖が存在するのです。

 そして『被害者に非があった』という非難は、見知らぬ他人からだけでなく、身近な家族や友人からさえも受けることがあります。これは”二次被害”や”セカンドレイプ”と呼ばれるもので、被害によって傷ついている被害者の心情をさらに傷つけることになります。被害者は自分を悪いもの、無力なものと感じ、自己否定し、絶望感から死にたいとさえ考えるようになってしまいます。」


 上記の山田氏の指摘の通り、性被害者は事件の行為自体で深く傷つけられるだけではなく、事件後も、周囲の誤解や偏見によってさらに傷口をえぐられるような体験を負わされるということが実際に起こっているのです。

 基本的に、被害者にはこうした二重の苦しみがあるのだという認識があれば、当該被害者に対してバッシングをしようと考える人はまずいないでしょう。

 だからこそ今回の日村スキャンダルの件でも被害者の女性をバッシングしている人たちは、性犯罪被害者のこうした事件による深い傷、そしてバッシングによる二次受傷によって、いっそうその傷がさらに深くなるといった認識が基本的に不足しているのではないでしょうか。


(3)性犯罪の加害要因について

それにしても、そもそも日村氏はなぜこのような行為に及んでしまったのでしょうか。

『子どもへの性的虐待』(岩波新書・2008年)において、著者の森田ゆり氏は子どもへの性加害者の動機として3つ挙げています。

①情緒的癒着欲求・・・この要素の典型的な例は、自分の強さ、他者への支配力を確認したい欲求。(性関係において男は強く支配的であれという社会通念に影響される)

②性的刺激・・・こどもと性的に関わることが身体的欲求を満たす。(情緒的・精神的な欲求を性行為によって満たそうとする男性に多くみられるこの動機は、子どもポルノの氾濫などにみられる社会的・文化的環境に影響される。)

③阻害・・・子どもしか性的満足を得られる対象がない。(例えば成人女性と対等に人間関係を持てない男性)

 上記の3つの点で重要なのは、性犯罪というものは、性欲を満たす目的だけで起こることとは限らず、加害者の情緒的・精神的欲求を満たす“手段”としても行われることがあるということです。

 また、2018年2月6日付のウオールストリートジャーナルでは、「(性犯罪に関わる)悪い行動は、自らがパワーレスであることに対する防御反応だ」というタイトルで、メアリーワシントン大学のキル・マーティン教授の言葉を下記の通り紹介しています。

「権力というものは男性が女性を不適切に扱う機会を創り出すことがある。だが、そうした機会を利用しようとする男たちのなかには、過去にパワーレス(無力)だと感じていたが、その後に突然権力を得たという人がいた。研究によると、この種の男性は、自分に権力が足りないと慢性的に思い続けてきた人であって、職場で不適切な注目を浴びようとしたり、ハラスメント(嫌がらせ)的な行為をしたりする公算が極めて大きかったという。」

 つまり、それまでの人生において“パワーレス”と感じていた加害者が、自身の有力感を得るために、性犯罪行為を行い、被害者を支配する。ということをキル・マーティン氏はここで指摘しているのだと思います。

 私はこのキル・マーティン氏の「パワーレスであることの防御反応」という指摘こそが日村氏のケースにおいて重要な視点であると考えています。16年前といえば、バナナマンがちょうど全国ネットにも出演しはじめ注目と人気が上昇し始めた時期と重なります。

 高校時代はテニス部のキャプテンや生徒会長などを務め、女性にも人気だった日村氏が、芸能界入り後、初めて組んだ相方とのコンビ解消、体形をはじめとする容姿の変化、バナナマン結成後10年程度の不遇の時期を過ごし、時にはブサイク芸人などと揶揄される中で、自尊心が損なわれ、無力感に囚われつつあったのではないでしょうか。

上記の森田氏の挙げた加害要因の一つに”情緒的・精神的欲求”がありましたが、日村氏にとって16年前の事件は、こうした自身の”パワーレスであった状態の解消”、そして具体的には不遇の時代に失った自尊心などのまさしく”情緒的・精神的欲求の埋め合わせ”という目的があったのかもしれません。


とはいえ、これは私の想像でしかないわけで、実際のところ日村氏が実際にどのような理由でこうした行為に及んだのかはわかりませんが、たとえ日村氏自身がそれまでの人生でパワーレスにならざるを得ない、何かしらの同情すべき要素があったとしても、日村氏の行った行為が許されないことであることには変わりはありません。


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バナナマン日村勇紀氏のスキャンダルについて(1)

0、 はじめに

 先日、お笑いタレントであるバナナマンの日村勇紀氏が、9/21付の「フライデー」において、16年前に当時16歳の少女に淫行を行ったというスキャンダルが報道されました。
 
 フライデーによる暴露後、各方面で様々な議論を呼んでいる本問題ですが、この間のマスコミ・SNSでの反応をみていると、淫行をはじめとする“性犯罪に対する基本的な視点”がずれているのでは?と思わざるを得ない意見が多数飛び交っていることに違和感を覚えます。

 今回この記事において、改めて性犯罪というものがいったいどういう性質の問題で、特に被害者に対してどのような影響を与えるものなのかという点にふれたうえで、今後日村さんがとるべき態度と行動について、検討していきたいと思います。


1、 事件の全貌について

まずはじめに、今回のスキャンダルの全貌がどのようなものなのかについて触れていきたいと思います。

(1)フライデーに掲載された記事
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「あの人のことは、いまでも許せません。16歳だった私を自分の都合で振り回して、肉体関係まで持って……。私自身が年齢を重ねた現在(いま)だからこそ、彼の行いは許されないものだとわかります。テレビに出ている彼の顔を見るたび、辛い過去を思い出してしまうんです」

 こう本誌に告発するのは、愛知県に住む32歳の河野綾香さん(仮名)だ。
 告発の相手は、お笑いコンビ『バナナマン』の日村勇紀(46)。なんと日村は過去、16歳の少女に淫行をはたらいていたというのだ。

 二人が初めて会ったのは名古屋の繁華街・栄。そのまま手羽先屋へ向かった。そこで日村は綾香さんに飲酒をすすめてきたという。
「店に着くなり、日村さんから『お酒飲む?』と聞かれて、断れなくて。私がすぐ酔っぱらってしまったので、1時間ほどで近くのビジネスホテルへ向かったんです。部屋に入ると、『一緒に寝ようよ』と言われて。寝転ぶ日村さんの上に乗せられて、キスやフェラをさせられました。挿入のときもゴムをつけてくれず、当たり前のようにナマでしてきた。私も突っぱねて嫌われたくなくて……。受け入れるしかなかったんです」
 その後、絢香さんは東京に引っ越し、日村の家に入り浸るようになるが、セフレのような関係が続くことに。

 本誌は9月中旬、都内の高級マンションから愛車の「ポルシェ911」を駆って番組収録へと向かう日村を直撃した。
――日村さん、河野綾香さんとの関係についてうかがいたいのですが。
「ずいぶん前のことですね……」
――当時16歳だった綾香さんと肉体関係もあり、日村さんは彼女の年齢も知っていたということですが。
「ごめんなさい、わからないです。覚えてないですね。マジですかこれは……。参りましたね」
 その後、日村からは所属事務所を通じ、自らの行いを認め、謝罪するコメントが送られてきた。
 9月21日発売のFRIDAYでは、日村と被害女性のツーショット写真をはじめ淫行の証拠写真を公開。二人の関係についてもさらに詳しく報じている。また日村への直撃取材の様子も掲載している。

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上記の記事は、フライデーが出自の9/21付のライブドアニュースの全文です。

事件の概要については上記の記事に掲載されているとおりですが、なぜ16年前の問題が今頃になって暴露されたかについては語られていません。憶測としては、今年4月に日村さんが結婚し、被害者の女性が「自分は今でも当時の経験に苦しめられているのにあの人は自分ばかり幸せそうに・・」という思いが、今頃になっての暴露につながってのではないかということも言われています。

いずれにせよ、16年前のこととはいえ、未成年への淫行は重大な犯罪行為です。決して許されることではありません。


(2)日村氏への擁護論と被害女性へのバッシング

にも拘わらず、ここ数日間の報道やSNSでの発信をみている限りでは、少なくない規模で「今更なのに、きちんと謝罪コメントを出した日村は立派」「16年も経過しているのになぜ今さら・・」「金でも狙っているのか」といった日村氏を擁護する声、そして被害女性へのバッシングが相次いでいるような状況となっています。

こうした声からもわかるように、16年も前のことをいまさら暴露したこと、さらに現在の日村氏の人気の高さや当時の被害女性が口ピアスをいくつもつけていたこと、日村氏に最初に近づいたときに年齢を偽っていたことなどの印象の悪さが日村氏の擁護と、被害女性へのバッシングにつながっているのでしょう。

とはいえ、女性は当時16歳の未成年。それに、記事の内容が真実であれば、被害者の女性は途中で自分の本当の年齢を明かしており、日村氏はそれを承知したうえで淫行を継続していたというのですから、日村氏が“未成年に淫行を行った”という事実についてはなんら変わりはないわけです。

こうした重大な犯罪行為を行っていたのにも関わらず、マスコミ・SNSで加害者を擁護し、被害者に対してバッシングがされる現在の日本の状態ははっきり言って異常だと私は考えます。改めてなぜ日本でこのような異常な状態が起きてしまうのかについて私たちは真剣に考える必要があるのではないでしょうか。

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