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松戸市中1いじめ自殺の事件について

1月23日付朝日新聞の記事より。


千葉県松戸市教育委員会は23日、市立中学校1年の女子生徒(13)が始業式の10日朝に市内の団地から飛び降りて自殺したと発表した。自宅から、いじめをほのめかす内容のノートが見つかったという。同市教委は「いじめの情報はなく、原因とは判断していない」との認識を示したが、今後、ノートの内容などについて調べる。

 市教委の説明では、女子生徒は10日朝から行方がわからなくなり、母親が警察に連絡し、死亡しているのがわかった。自宅には女子生徒が書いたノートや便箋(びんせん)の走り書きなどがあった。市教委が警察に確認したところ、ノートには「いじめっこに仕返しをしてみたい」「自殺しようとしたけど失敗した」などと記されていたという。

 同校では月に1度、いじめに関するアンケートをしているが、女子生徒から訴えはなかったという。伊藤純一教育長は「他の生徒からもいじめの情報はなかった。今のところ、いじめが原因とは判断していない」と話した。



また一人、中学1年生という幼い命が失われました。


自殺した13歳の女子生徒ですが、
(1)始業式のある10日の朝に自殺を決行したということ。
(2)「いじめっこに仕返しをしてみたい」
ということからも、いじめが原因で自殺をしたことは間違いないと思います。

それなのにもかかわらず、松戸市教育委員会は、「いじめの情報はなく、原因とは判断していない」との認識を示しました。

そしてその根拠が、女子生徒の在籍していた中学校で、月に1度実施しているいじめに関するアンケートにおいて、当事者の女子生徒から訴えがなかったこと。そして、他の生徒からもいじめの情報がなかったことだというのです。

正直、この松戸市の教育委員会のまるでいじめなど存在していなかったという、責任逃れに終始する態度に私は愕然としました。


誰でも思うところだとは思うのですが、いじめのアンケートで本人の訴えがなかったこと、そして、他の生徒からいじめの情報がなかったからといって、どうしていじめが存在していないと断言できるのでしょうか。


もともといじめの事実を教師に伝えるということは、被害者の側からすると非常に困難さを伴います。教師にいじめの存在を伝えることで、加害者側の報復としてのいじめがエスカレートする可能性だったり、親にいじめの存在が知られてしまうことへの懸念などがあるからです。

だからこそ、いじめの事実を被害者側から教師に伝えてもらう行為というのは、そもそも非常にデリケートな問題であり、相当の丁寧さが必要です。

そんな中で、いじめのアンケート。いったいどのような形で実施していたのでしょうか。

テストを受けるように、教室の中で全員に配布して書かせていたのでしょうか。
いじめの加害者がすぐ隣の席にいるかもしれない可能性を伴う中で、被害者は”いじめられています”とかけるでしょうか。

校内に、アンケートのポストを用意して、投函させていたのでしょうか。
投函するところを、加害者にみられるかもしれません。

そもそも、いつから学校においていじめというのは、アンケートなどによる被害者側からの自己申告しなければ扱ってもらえない事案になってしまったのでしょうか。


そして、他の生徒からいじめの情報がなかったという根拠についても疑問に思うところです。

当然、加害者側から、「私はいじめをしています」なんていう生徒はいるはずがないですし、他の生徒についても、とばっちりを覚悟で情報提供をすることには相当の勇気のいる行為のため、普通に考えれば、いじめの存在を教師に伝えるということは起こりえないことだと思います。


だからこそ、アンケートによる本人からの訴えがなかったこと、他の生徒からいじめの情報が寄せられなかったことが、いじめが存在していなかったという根拠とはいえるはずがないのです。

引き続き、いじめの存在について詳細な調査をして欲しいと切に願っています。


そして、今回の件で私が一番懸念しているのが、この教育委員会の態度に関する報道が、今現在松戸市内の学校で、ひいては全国でいじめを受けている子どもにどのような影響を与えたかということです。

松戸市の教育委員会の態度、これが、いじめの被害者にとってどういうメッセージとなったのか。私は2つあると思います。

1つは、いじめについては本人が自己申告しない限り、対応はしませんよ。ということ。

2つ目に、「私はいじめが原因で自殺しました」とでも、当事者が遺書を残して自殺をしない限り、いじめの存在と自殺との因果関係を認めませんよ。
ということです。

今現在いじめを受けているこどもたちにとってこれほど辛いことはないでしょう。

子どもたちに少しで寄り添う姿勢があるのであれば、今回のような態度にはならなかったはずです。

いじめで苦しむ子どもにとって少しでも希望が持てるように、松戸市の教育委員会では、対応について抜本的に改善して欲しいし、現場の教師がいじめの問題に少しでも介入する時間と余裕が持てるように、労働環境の改善を図って欲しいと切に願います。

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