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郵便局で思ったこと・・

【郵便局でみた”営業成績表”】
 昨日、郵便局において恐ろしいものをみてしまいました。

 それはなんと”営業成績表”。現在郵便局で発売されている”かもめーる”の個人別売上表のグラフでした。グラフの下に個人名、横に売上高が書いてありました。

 公然と貼られた”成績表”において、成績をのばせない社員の方はどれだけみじめで肩身の狭い思いをしているのだろうな・・とやりきれない気持ちになります。

 民営化されたとはいえ、公的な性格の強い郵便局において、こんな成果主義的な経営手法がまかり通っていることを知り正直驚きました。
 
 そしてさらに驚いたのはその成績表が、今年の分だけではなく、なんと隣に前年度の成績の結果も一緒に貼り出されていたことです。
 
 「去年あなたはこれしか販売できなかったから、今年は頑張りなさい!」ということでしょうか?

 こうした経営手法が用いられている郵便局という職場は、もはやそこで働く職員の方にとっては安心して働ける場所ではありえないのだろうなと思います。


【”営業成績”を競うことのそもそも】
 そもそも”かもめーる”の売り上げを競わせること自体がおかしなことです。
 郵政グループの大元の経営方針としては、経常利益の向上のためにこうした経営手法を導入しているだろうと思います。しかし、先日ゆうパックの遅配問題で郵便局の信頼ががた落ちになったという事件がありました。そもそも”遅配”もしくは”未配達”になるかもしれない所に誰が好んで手紙や信書を託すでしょうか。

 どんなに職員同士を競わせて、販売成績を伸ばそうとしても、そもそもその商品自体に信頼がないのです。いくら販売を促進しようとしても、その商品自体が不信感のため需要がないのですから、職員がどれだけ頑張った所で売り上げを伸ばすには限界があるでしょう。職員同士を競わせる前にやることがあるのではないかと思うのです。


【郵政民営化の弊害】
 そもそも、郵便局がこのように変質を遂げてしまったの原因は、間違いなく郵政民営化にあると思います。郵政事業から国の公的負担を撤退させ、民間会社として経営的に独立させてしまった。
 そのため、経営効率を上げるために、郵便局はこの数年間大規模な郵便局の適正配置・人員削減を行ってきました。

 その弊害は挙げればきりがありません。私自身も、この間の集配局の削減で、それまで届いていた郵便物が”不在”として戻ってきてしまうなどの困ったことも経験しましたし、実際に聞いた話では、山奥住んでいる高齢のおばあさんが、「これまでは近くの局に電話をすれば、郵便物を預かりにきてくれたのに、民営化の後は急に『いけなくなりました』と断られた」という話も聴きました。
 
 ゆうパックの遅配も、少ない人員体制の為そもそも無理があったからこそ生じたのではないかと思います。


【郵便局の優位性】
 郵便局も民営化されて、経営効率をあげるために様々な経営手法を導入していますが、それでも郵便局が既存の佐川急便やクロネコヤマトなどよりも巧みな経営手法が取れるとは到底思えません。
 そもそも郵便局自体が、そうした経営効率あげることを前提に作られていないからです。

 むしろ郵便局というものは、そうした民間の経営効率を上げることから解放されていたからこそ、その優位性を示すことができたのではないかと思うのです。
 
【地域に根付いてこそ郵便局】
 民間企業の視点で郵便局を見た際、郵便局という事業はまさしく”無駄”だらけにみえるでしょう。なぜなら人口の少ない山奥にも必ず存在しており、ポストの数は一つの銀行のATMの数とは比較になりません。田舎の配達を担当している郵便屋さんは、仕事以外の荷物の運んでくれたり、お年寄りが元気で居るかどうかを確認する為に、書留でもないのに手渡しで郵便物を渡したりもしていました。
 
【郵便局への信頼】
 経営効率を第一に考える民間企業では行えない、しかし人間の生活にとって大事なことを郵便局に勤める人たちが一つ一つ行ってきたことが、地域の人から信頼へとつながり、郵便局は今日まで日本の市民の中に深く根付き、今居る位置を占めてこれたと思うのです。

 しかし、今の郵政グループのやろうとしていることは、そうした方向とは真逆のこと、これまで築いてきた信頼を失墜することだと思います。
 
 経営効率をあげるための人員削減をはじめ効率化しようとしている部分こそが、郵便局の魅力であり、信頼の礎であったのだから、公的事業であったからこそ行えたサービスが行えなくなることはそのまま地域からの信頼を失ってしまうことになります。

 さらに職員の間にも、成果主義的経営手法が用いられたことによって、郵政事業を担う職員の中にも競争と分断が垣間見えるようになり、職員同士の信頼関係もなくなっていってしまうでしょう。

 地域からの信頼を失い、職員同士も信頼できなくなり、郵便局がこれまで持っていた力が大きく弱体化してしまうでしょう。
 
 郵便局が民営化されるということは、ただただ一つに国の事業が民間の手に移るという簡単な話ではありません。数十年かけて築いてきた地域と郵便局との信頼を壊し、ひいては地域自体の機能まで崩壊させてしまう大変大きな問題なのだと思います。

 どうかこれからも、郵便局というものが私たちにとって身近な安心して利用できるもので会ってほしいと切に願っています。
タグ:郵政民営化
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