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大学生の就職活動について

【日本経団連の新卒採用に関するアンケート結果】
 1997年から継続的に実施されている、日本経団連の「新卒採用に関するアンケート調査」の2010年3月卒業者に対する調査結果が4月14日に公開されました。

 結果を見ると、”採用実施企業の割合は2年連続で減少”とのことでしたが、”来年度の採用予定は上向き”と来年度卒の大学生にとっては明るい兆しというようなものが見える結果となりました。


 【懸念される就職活動の早期化】
 採用予定者を増やそうとしていることは、なにより良いことだと思うのですが、私がこの間ずっと気にしているのが、”就職活動の早期化”の問題です。ここ十数年で、新卒学生の就職活動の早期化が大幅に進みました。以前であれば、就職活動は4年制大学であれば4年次の秋から始まっていましたが、今では3年次の秋から始まるのが通例化しています。

 今回の経団連のアンケート調査でも”4-(2)企業概要、採用スケジュール等の情報提供の開始時期”について8割の企業が「10月」に開始していることがわかりました。


 【学業を半ばに卒業しなければならない実態】
 3年生の秋から4年次の終わりまでの一年以上も就職活動に費やさなければならないのであれば、通常の大学での学業などは覚束ないはずですし、ましてや4年次にとりくむべき卒業論文や研究などに力を入れられるわけがありません。
 
 ここ数年も大学の後輩たちが、就職活動でいっぱいいっぱいで、卒業論文・研究も納得のいくまで仕上げることができず卒業していく姿を見てきました。大学にくる学生にとってそのきっかけは人それぞれでしょうが、なにかしら”学びたい”という意欲をもって進学していることは間違いない事実だと思います。それなのに、自身の興味や関心に基づいてもっとも学ばなければ成らない時期に就職活動に取り組まなければならず、学びたいことも半ばに卒業していかなければならない現在の実態はおかしいのではないでしょうか。


 【尊重されない”学業成績”】
 もう一つ指摘したいのが、”5-(1)選考にあたって重視した項目について”の調査結果です。これによると、2010年度の採用に当たって企業が重視したのは上から、①コミュニケーション能力 ②主体性 ③協調性 と続きます。注目してもらいたいのは”学業成績”については全体の16番目、重視している企業は5%に過ぎません。

 これでは、企業自体が学生自体に”大学の学業はそこそこでかまわない”といっているのも同じです。大学で4年間学んできた成果をもう少し尊重する姿勢があってもいいのではないかと思うのです。これでは大学がまさに企業にとっての”就職予備校”と化しているといっても過言ではないのではないのでしょうか。


 【就職協定の復活と大学での学びと企業の成長を重ねる視点を】
 大学での学びがおろそかにされている状況は、長い目で見れば日本の産業全体の成長や発展を妨げるものとなりえるのではないかと思います。こうした状況を回避する為にも、企業の側が主体的に就職活動が早期化する現在の実態を改善し、学生に学業を深める為の保障をするべきです。そのために1996年に撤廃された就職協定を復活させること、そして企業にとっても学生にとっても互いが尊重され、成長し発展していける道筋というものについて本腰を入れて考えていくべきではないかと思います。

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