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"嫉妬"について(1)

≪はじめに≫


今回は”嫉妬”という感情について書きます。
前から、書いてみたいな・・という風に思っていたテーマです。
最近何かと日常生活の中でも、嫉妬について考えさせられる場面が増えてきたように感じたこともあり、今回書くことにしました。


≪”嫉妬”とは何か?≫

それではまず最初に”嫉妬”というのはそもそも何なのでしょうか?
「goo国語辞典」で”嫉妬”という言葉を検索してみると、

1 自分よりすぐれている人をうらやみねたむこと。
2 自分の愛する者の愛情が、他の人に向けられるのを恨み憎むこと。やきもち。悋気 (りんき) 。

と書いてあります。
上記の内容で異論のある方はほとんどいないと思います。

そして、”嫉妬”という言葉の語源について調べてみると、以下の通り書いてありました。

「嫉」の右側の「疾」は、「病(やまい)」+「矢」で「矢のようにきつく速い病」。
そこに「女」へんがつくことで、「女性にありがちな、頭にカッとくるヒステリー状態」を意味するとのこと。


これだけ見ると、”嫉妬”という漢字をつくった人の人格が疑われるようですが、ともかくも語源的には、先ほどのgoo国語辞典の2番目の意味、「自分の愛する者の愛情が、他の人に向けられるのを恨み憎むこと」に近い意味で捉えられているように思います。


また、嫉妬を英語で表現した場合に、最も適当だとされているのが「jealous」「=(ジェラシー)」という言葉だといわれています。

「jealous」「=(ジェラシー)」と似た意味を持つ言葉として、よく「envy」という言葉も引用されますが、この2つの言葉を比較することで、よりいっそう「jealous」(=嫉妬)の意味が際立ちます。


「jealous」と「envy」との意味の比較についていろいろなサイトを見てみたところ、大枠のところ、
 自分が持ってないものに対しての羨みは「envy」
 自分の持っているものが奪われてしまう羨みは「jealous」
ということで、説明がされていました。


このことをふまえると、先ほどの”嫉妬”の語源のところでもあったように、「jealous」(=嫉妬)という言葉には、「他者の存在によって、自分の価値が奪われてしまう、もしくは損なわれてしまうことに対する他者への恨みや憎しみ」。そんな意味が込められているように感じます。


これらのことを私の言葉で表現するのであれば、”自分の価値が損なわれてしまうことに対する感情的な防衛反応”ということで、”嫉妬”というものを捉えるのがもっとも適切ではないかと私は考えます。


≪現代社会における”嫉妬”という感情の変質≫

”自分の価値が損なわれてしまうことに対する感情的な防衛反応”というものとして、”嫉妬”というものを捉えたうえで、私が訴えたいのは、現代社会において、”嫉妬”という感情は、”個々の生存がかかった、逼迫感を持ったものとして表出されている”のではないかという懸念です。

”個々の生存がかかった、逼迫感を持ったもの”というと、かなり大げさな表現に聞こえますが、私がこうした表現をする理由は大まかにいって3つあります。

一つ目は、今の若者の生活世界の中では、学校や労働の場においても、各個人の全人格と能力が問われる熾烈な競争原理が働いているということ。

二つ目は、拡大する格差と貧困によって、その熾烈を極めた競争の敗者には、生存すらことすらままならない生活環境に落ち込む可能性が高いということ。

上記の2点については、もう少しわかりやすくいうと、グローバル化する社会において、産業界から多様な個性というニーズが求めれるにしたがって、昔みたいな学力至上主義から、関心・意欲・態度・コミュニケーション能力など、全人格的な能力競争に学校・雇用の現場がシフトしているという現状があるということ。
そして進行する貧困と格差によって、絶対的貧困層が増大し、熾烈を極めた競争の敗者は必然的にその生存することすらままならない生活環境が待ち受けているということにもなります。

そして三つ目に、それらの熾烈な競争原理と進行する格差と貧困という今の社会環境が、個々の自尊心・自己肯定感情の形成を妨げる大きな要因となっていることです。

詰まるところ、競争の敗者に与えられるのは、「絶対的な貧困」と「人格の否定」。

”嫉妬”を感じるということは、自分自身が他者に対して何かしら劣位であることを認めているということであり、要するに競争の敗者であるということを自分自身が認めてしまっているということです。

現代社会の中では、競争の敗者であることを認めることは上記の通り、多大なるリスクが存在します。

こうした事実が、人々の”嫉妬”という感情に逼迫感を持たせているのではないか、私はそう考えます。
タグ:嫉妬

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