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『ねえ、これ、やんなくても良い・・・?』


「ねえ、これ、やんなくてもいい?」



うちの職場の先輩には、今小学校2年生の娘さんのMちゃんがいます。

先輩は夫婦共働きなので、二人とも仕事が長引くと、たまにMちゃんは職場に遊びに来ます。



昨年の春の、ある土曜日。

この日は、午後から家族でお出かけということで、Mちゃんは朝から職場に連れてこられていました。


朝から特になにもやることがなく、手持ち無沙汰にしていたMちゃん。

そんな様子を見かねて、私はポケモンの塗り絵と色鉛筆をMちゃんの前に置いて、「塗り絵でもやってたら?」と声をかけました。

その時、もちろん私の心の中には、Mちゃんが喜んで塗り絵をやってくれる姿を見せてくれるのでは、という期待があったことは言うまでもありません。


しかし、このことに対してMちゃんから発せられた言葉は、私にとって予想外のものでした。


「ねえ、これ、やんなくてもいい・・?」


と、Mちゃんは自分の気持ちに正直に、「塗り絵をしなくても良いかな」と私に聞いてきたのです。


塗り絵をやりたくないというMちゃんの返答は、喜んで塗り絵をやってくれる姿を期待していた私にとっては、予想外のものであったのだけれども、私はこの時、思わず心の中があったかくなるのを感じました。


塗り絵をやりたくなかったMちゃん。

やりたくないのであれば、子どもらしく「ヤダッ!」と一言返事をして私を一蹴すれば良かったはず。

もしくは、塗り絵をやりたくはないけれども、断るのも面倒だから、ちょっとだけ手を出して、すぐやめるという選択肢もあったはずです。

この場合、Mちゃんが前者の対応をした場合はいわずもがな、後者の対応をしたとしたとしても、私自身きっと、Mちゃんにやりたくもない塗り絵を強制させてしまったという罪悪感にさいなやまされていたことでしょう。


でもMちゃんは、そうした態度をとりませんでした。

Mちゃんは私が「塗り絵でもやってたら?」と声をかけたとき、ほんの一瞬だけ逡巡した様子を見せた後、「ねえ、これ、やんなくてもいい・・?」と返事をしてくれたのです。


Mちゃんのとったその一連の態度の中に、Mちゃんのちょっとした相手への気遣い、そして相手への誠実さというものが垣間見れたような気がして、だから私は思わず心があったかくなったのです。



Mちゃんはまだ小学2年生。


まさか小学2年生に、相手への気遣い、誠実な対応、そういうコトを学ぶ事になるとは思わず、背筋を正されるような想いでした(笑)
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