SSブログ

9.19から1年~今改めて安保法制反対運動を振り返る~③

 【SEALDsの国会前行動で私が受けた印象について】


 それから1時間の間に、私が感じたこと。箇条書きでいくつか述べたいと思います。

(1)コール&レスポンス

 一つ目はコールについてです。SEALDsのコールは”ラップ調”であることと、”コール&レスポンス”のスタイルをとっていることに特徴があります。ラップ調のコールは、リズム感が求められるのですが、リズムにさえ乗れれば、声を出すことをためらっていた人であっても自然と言葉がリズムに乗って出てきます。

 既存のコールは、大の大人の男性が言っているのを聞くと、怒号にも似たように聞こえることもあって、若い人の中で、コールをためらう人が多かったことに対して、SEALDsのコールは、今まで声を上げたことのない人にとっても親和性のあるスタイルだなって印象を受けました。

 そして、もう一つ、”コール&レスポンス”についてです。これも、コールをした人の言葉をリピートするスタイルに慣れてしまっている人にとっては難しいですね(笑)

「民主主義って何だ!?」「これだ!」(○)

「民主主義って何だ!?」「民主主義って何だ!?」(×)

というように、ついコールの人の言葉をリピートしちゃうんですよね。

ただし、コールに対してレスポンスするスタイルに対して、私は2つ画期的な点があると思います。

一つは、同じ言葉をリピートすることで「言わされている」という感覚が薄れること。

二つ目に、既存のコールが権力側に対して言葉を投げかけるというスタイルなのに対して、コール&レスポンスは、コールする側が、参加者に対して問いかけをし、それに対して参加者が応答するというスタイルです。
 
 これまでの既存のコールのスタイルでは生じなかった、参加者一人ひとりの心に、「主権者としてこのままでいいの?」という問いかけがコールを通して投げかけられる。

 そのことによって一人ひとりの主権者としての在り方が問われる。既存のコールのスタイルでは、ともすれば、コールする側の言葉をおうむ返しに言っていればとりあえずは形にはなっていましたが、レスポンスが求められるコールではそうもいかない。

 コール&レスポンスのスタイルは否が応でも一人ひとりの主権者としての在り方・主体性が問われてくるスタイルなんだなって感じました。


(2)スピーチ

 2つ目に、私が印象に残ったのはスピーチについてです。

 SEALDsのメンバーのスピーチの特徴は一つ目に”一人称”での語りということ。そしてもう一つは”自分の言葉でメッセージを語っている”ということです。

 既存の団体の宣伝スポットなどとは違って、一人ひとりの価値観や生活、それまでの人生を反映した言葉、”借り物の言葉ではなく、自分の言葉”で語るからこそ、参加者の心にも響くし、届く。だからこそ、参加者の心にも少なくない影響を与える。それがSEALDsのスピーチの特徴だと思います。

 ちなみに、私が初めて国会前行動に参加したこの6月12日の時はSEALDsの紅子さんがスピーチをされていました。

(※紅子さんのスピーチの全文は下記のURL参照)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/249008

「私、今日ここに来る前に、夏に着る水着を買ってきて、マツエク(まつげエクステ)いつつけようかなーとか悩んでました。なんか、そんな、水着とかマツエクいつ付けるかとかで悩んでる人間が、政治について口を開くことはスタンダードであるべきだと思うし、スタンダードにしたいから、スタンダードになるまで繰り返し声を上げ続けなくてはいけないんだと思ってここに立っています。
2015年6月12日、私は戦争法案に反対します。」

この紅子さんの言葉も、本当に今を生きる若者の日常の中から出ている言葉ですよね。


(3)個人での参加者が多かったこと

 3つ目に、6月12日の抗議行動で感じたのは、個人で参加している若者の多さについてです。この日、世代構成については明らかに学生(大学生が多い印象)か、20代~30代の若者が多かったと思うのですが、印象的だったのが、参加者同士の会話があまりなかったということでした。参加者同士があまり会話をしていないということは、互いに面識がないということです。

 つまり、参加者はそれぞれがこの場所に個人としてきたのであり、誰に言われたわけでもなく、各々が何かしらの問題意識をもって、この場に自主的に参加している若者がこんなにも多く存在するんだ・・というその事実に私は驚きました。


(4)伝播する熱狂

 最後に、この6月12日の抗議行動で私が一番印象的だったのが、コールする人の輪が、伝播するように広がっていた光景についてです。

 私が到着した時には、コールは北庭エリアの周辺だけで行われており、その周辺を取り巻いていた参加者はただ北庭エリアのステージの様子を見ているだけでした。

 しかし、その30分後には、まるで北庭エリアの周辺の熱狂が徐々に周囲に伝播するかのように、コールをいう若者が一人また一人と増えていき、1時間後には、ほとんどの参加者が想いのたぎり込めてコールを言っていました。

 先ほど、この日の参加者は若者が多く、かつ個人で参加している方が多いという印象がありましたが、おそらくコールというものをこれまでの人生で言ったことのない若者も相当数いたに違いありません。まったく面識のない人たちに囲まれて、これまで一度としてコールをしたことのない若者が、この短時間の間に、何の違和感もなくコールするようになってしまうという急激な変化。


 SEALDsの行動は、結成から1ヶ月程で、今まで政治についてなんら関わりを持つことのなかった多くの若者の注目を集めることに成功し、かつ自主的に国会前行動に参加するだけにとどまらず、一人ひとりが自主的に平和や民主主義への想いを”声”として主張する、そんな若者を数百数千規模で生み出してきた、そんな場を国会前を中心として築き上げてきたということにSEALDsの大きな価値と貢献があったのだと思います。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。