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第46回総選挙(4)-構造改革or反構造改革か②-

前回の記事では、ここ数回の国政選挙において構造改革を推進する政党が国会の議席の8割以上を占め、反構造改革の立場に立つ正当は1割ほどしか獲得できていない状態で推移していることを見てきました。
 

【構造改革推進の政治をストップさせる希望について】 


 そうした状況の中で、今の日本の現状において構造改革を推進する政治にストップをかける展望も希望も今回の選挙で見出すことは出来なかったのでしょうか?私は今回の選挙を通して、構造改革を推進する政治をストップさせるために以下の2点希望とも言える大事な経験が生まれたことについてしっかり抑えておく必要があると感じます。


【二大政党制の崩壊の意味】


 一つは今回の選挙を通して、二大政党制の崩壊が決定的になったということです。前の記事でも見ましたが、ここ10年ほど自民党と民主党は構造改革を競い合う形で激しく国会の議席を争ってきた中で、大体7割程度の議席を自民と民主で確保してきていました。しかし2010年の参議院選挙では、両党で55%程の得票しか占有できず、今回の選挙に至っては両党で43%にまで激減してしまいました。

 前回の09年の総選挙において自民党が大敗した理由は小泉元首相から中心になって行ってきた構造改革が日本における格差と貧困を悪化させ、国民の生活をズタズタにしてしまったことが原因でした。

 今回の総選挙では、構造改革を推進する政治を変えてくれるという期待を一手に受けて誕生した民主党政権が結局のところ大企業とアメリカの圧力に屈して構造改革推進の立場に回帰してしまったために、結果的に国民の期待を裏切る形となってしまったことが民主党が大敗した最大の原因だと思われます。 

 今回の総選挙において、自民党が議席数だけ見れば大勝したにも関わらず、支持率が伸び悩びをみせたのはなぜか。それは国民の中には構造改革を推進して国民生活を徹底的に破壊する役割の先陣を果たしてきた自民党を忌諱する感覚が広範囲存在しているためだと思います。

 つまり、今回の民主党の大敗し自民党の支持率の伸び悩みによって両党の得票率は43%まで落ち込んだことは、国民の中で構造改革を忌諱する感覚が広範に存在している証拠だと思います。このことは政権をとった自民党や民主党が構造改革の政治を前に進めようとする際に大きな壁となって現れてくるはずです。

 国民の中に構造改革に対する根強い不満があるとすれば、反構造改革の立場に立つ運動や政党がこの広範に存在する構造改革への不満を吸収する形で運動を作り上げていけるのであれば、それは今の構造改革を推進する勢力が多数をしめる国会の力関係を大きく変えうる力になりうる可能性が存在するということです。このことを今回の選挙の経験としてしっかり抑えておく必要があると思います。


【発展する運動と統一候補の実現】


 もう一つは、この間、さまざまな分野で一点共闘が現れるようになりましたがそれが選挙の舞台で具体的に票や議席に結びつくまでに運動は発展していませんでした。

 今回の選挙においても、官邸前行動に象徴されるような反原発の運動が空前の発展を見せ、各党の選挙政策にも大きな影響力を与えましたが、そうは言っても国民世論自体が原発の完全廃止ではなく、段階的縮小論が圧倒的多数をしめていたこともあり、反原発の表は分散することで投票行動としては大きな影響力を発揮できませんでした。

 またTPP反対についての一点共闘についても、農協中央会の会長が「TPP反対の政党を支持する」とまで述べていましたが、今回は自民党がTPP交渉への参加について後ろ向きな態度をとっていたために、農協票はもともと支持基盤だった自民党に投票が流れたように思えます。
 
 このように、今回の選挙においても一点共闘が具体的な投票行動として影響力を発揮することはなかなかできなかったのですが、唯一例外として東京都知事選挙ではこれらの運動が統一候補として宇都宮候補を支持するという形で実現したのです。

 宇都宮候補は脱原発、福祉の再建、教育の再建、憲法擁護と文字通り反構造改革的な政策を掲げて選挙を戦いました。これまで各分野で運動が大きな盛り上がりを見せる中で、それが政治と結びつき、特に選挙での投票行動となって影響力を発揮することはなかっただけに、今回のこと都知事選挙での宇都宮候補をさまざまな運動が協力して統一候補として戦ったことは今後に生きる貴重な経験だと思います。

 具体的には、共産党と社民党が60年安保の時以来はじめて同じ候補者を支持して戦ったり、小沢さん率いる保守政党の未来の党が宇都宮候補を支持したり、反原発、TPP反対などの様々な運動の中心的役割を果たしてきた団体が協力して選挙を戦ったということなど非常に注目する点の多い取り組みだったのです。

 今もなお大きな発展を見せている様々な運動がこうした形で選挙の際に協力し合う経験が全国各地で生まれればそれはきっと構造改革を推進勢力にとって抗する大きな力となっていくはずです。そのためにも今回の都知事選の取り組みを経験を全国各地で共有し、来る参議院選挙ではさらなる大きな力に発展させる必要があるように感じました。

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