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第46回総選挙(1)-低かった投票率①-

昨年12月に行われた総選挙について少しずつ書いていきたいと思います。
今回は投票率についてです。

【近年稀に見る低投票率】

先日行われた総選挙の全国の投票率は59.32%でした。総選挙の投票率の推移については、
第41回(1996年)59.62% 第42回(2000年)62.49% 第43回(2003年)59.86%
第44回(2005年)67.51% 第45回(2009年)69.28% 第46回(2012年)59.32%
これを見ると近年行った総選挙の中でもっとも投票率が低い選挙となったのが今回の選挙の特徴でした。


【低い投票率の裏側にある二大政党への失望】

前回の総選挙では、長年続いてきた自民党政治と構造改革による日本社会の貧困化、それに対する不満が鬱積し、民主党が大勝、それに対する自民党が大敗北を喫した選挙でした。民主党は政権交代後、国民の期待とは裏腹にマニフェストなどまるでなかったかのように、国民の願いとは裏腹に公約破りの政策を強行してきました。TPPへの前向きな姿勢、障害者自立支援法の実質的存続、沖縄の普天間基地の県外移設への態度、後期高齢者医療制度も存続etc・・・。そして極め付けには今回の総選挙を迎える直前に消費税増税の法案を国民の過半数が反対という世論をおしきって強行採決してしまうなど、国民の怒りは頂点に達した状態で迎えたのが今回の総選挙でした。

 ですから、自民党も駄目、民主党も駄目、二大政党のどちらも信用ならないというのが、今回の低い投票率の根本的な原因だというのは多くの人の共通の認識だと思います。
 
 しかし、今回投票に行かなかった人たちは無党派層に属する人たちだと思いますが、逆に言えば今後選挙が行われる際にこの今回投票に行かなかった無党派層の人たちこそ、新たな票田にもっとも近い形でなりうる人たちだともいえるのではないでしょうか。だからこそ、今回の総選挙が低い投票率になったのは二大政党への失望という根本的なことを押さえた上で、この低い投票率についてもう少し丁寧に見ていくことでこうした層の人たちに対して今後どのようにアプローチしていけばよいのか。特に若年層について検討していきたいと思います。


【近年稀に見る低い投票率、過去最高の無効票】

 まず、今回の低い投票率が本当に二大政党への失望から生まれたものなのかということについて検討しておきたいと思います。みなさんの中には「今回投票率が低かったのは、国民の政治への関心が低かったためだ。」と思っている人もいるかもしれません。それを考察するのに一番わかりやすいと思うのが、今回の総選挙における選挙区の無効票についてです。

 12月18日付の朝日新聞では以下のように報道しています。

投票率最低なのに・・・選挙区の無効票『過去最高』


「16日に投開票された衆院選の小選挙区で、白票や候補者以外の名前が書かれた『無効票』が焼く204万票に上ったことが分かった。朝日新聞が各都道府県選管の開票資料に基づき、投票者数から候補者への投票数を引いて集計した。204万票は投票者数の3.31%に当たる。計算方法が異なるので単純比較はできないが、総務省の集計では、これまでの無効票率は2000年の2.99%が最高だった。」

 無効票が過去最高だったという事実を、「たまたま今回書き間違えた人が多かっただけだ」という人はさすがにいないと思います。この朝日新聞の記事にもあるように、「投票所に足を運んだものの投票先に悩み、白票を投じた有権者の姿が浮かび上がる」と考えるのが一番自然なのではないでしょうか。

 このように無効票が過去最高に上ったという事実を踏まえて、低い投票率を見た際に、やはり政治的無関心から投票を棄権したというよりは、関心はあったにもかかわらず投票する政党や候補者を見つけられなかった、投票するだけの意義が感じられなかったと見るほうが現実的でないでしょうか。
 もし国民が政治的無関心から投票を棄権したのであれば、それこそ日本の民主主義の危機だとも思いますが、みずから選択して棄権した人が多かったのであれば、それは今後の日本社会の行く末を占う際に肯定的な材料になりうるのではないかと思います。

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