『総選挙』を観て思うこと。

　昨日『総選挙』が行われたとニュースで聞きました。ただし『総選挙』といっても、いわゆる国会議員の衆議院総選挙うではなくて、人気アイドルグループのＡＫＢ48内で行われた今度発売されるシングルについての選抜”総選挙”のことです。

　この”総選挙”ですが、選挙とは名ばかりで、実際はメンバー内の”人気投票”にほかなりませんでした。10代前半から20代前半までの女の子たちが、公表される形で露骨に競わされる。正直、どんな順位になったとしても、ここまで露骨に自身の順位と投票数が公開された形で明らかになってしまうということは、当事者たちになにかしらの”傷”が残ってしまうのではないかと気がかりです。

　主催者の意図を知っているわけではありませんですし、一概に人気投票なるものが悪いとは言いませんけれど、不安は残ります。

　今回は2回目の総選挙ということだったらしいですが、前回一位を獲得し、今回は2位だったリーダー格の”前田敦子”さんが、新聞で報道されているところだと、結果について「正直悔しいです、でも実は・・・少し肩の力が抜けた部分があります・・・今までどれだけのプレッシャーの中でいたのか・・・何て言えばいいのか・・・難しいんですが・・・今回2位をいただけたことで・・・気づいたことたくさんありました。これは成長できるチャンスですよね！まだまだ認めてはいただけないという事実を受け止めながら、今年も精いっぱい頑張っていきます！ＡＫＢ48をよろしくお願いいたします！」とコメントしていたそうです。

　”前田敦子”と言えば、テレビを全く見ない私ですら知っている存在です。そこまで人気の高い存在にもかかわらず、一体なにが”認められていない”のかは正直わかりません。
　
　たとえこの総選挙がメンバー内に競争圧力を生みだした上で、各々のさらなる成長を飛躍させたいという意図があったとしても、私にはこの圧力がどちらかというと肯定的な面より、否定面のほうが強い結果になっているような気がしてなりません。
　
　前田敦子さんのコメントにも「今までどれだけのプレッシャーの中でいたのか・・」という言葉も、そうした競争圧力に常にさらされていた本人の苦悩を端的に表しているような気がします。

　ＡＫＢ48というメンバーが何十人もいるグループの中で、それだけメンバーが存在するのであれば本当はプレッシャーなどは分散されるはずです。ただ、前田敦子さんをはじめとするメンバーの中では、メンバー同士の仲が良いとしても、外的な競争圧力にさらされて、結果的にはプレッシャーを一人で抱え込まなければならないような状態に陥っているのではないかと思います。

　今回のようにたびたび総選挙なるものが開催されていくのであれば、自身の順位をあげるために、他の仲間を出し抜こうということを、自分の居場所を守るために必然的に考えなければならない状況にさらされます。同年代の仲間との関係を築いていく重要な年頃なのにも関わらず、そうした矛盾した状況に置かれているということが、健全なのかどうかは疑問が残るところです。

　総選挙や、グループに課せられる競争圧力により、各々の本心や心底の想いに向き合うのでなく、表面的なキャラクタ―を以下に大衆に”うける”存在にしていくかというところに自身の力点がおかれてしまう危険性もあると思います。
　
　それに関連して、近年タレントや芸能人が”ブログ”も一つの芸能活動、いわゆる仕事として位置づけられているような気がします。ブログを仕事とすることに関して思うのは

①芸能人のプライベートの部分まで過度に仕事にさらされてしまうこと
②ブログを書く労力のために24時間実質的に拘束されてしまっていること
というような点について、不安を感じます。

　総じて、現在の芸能活動が、過度の競争圧力や当事者の内面へ踏み込むものになり過ぎているのではないかと思います。
　
ただし、ブログというものを通じて、自身の本心について向き合えたり、それが評価されたり、気軽にコメントに書き込む込めることになったことで、それまでは届かなかったファンの励ましが届くようになったことなど肯定的な部分も多数あることは事実だと思います。
　どちらにしろ、こうしたツールを使用した芸能活動についてこれから議論が必要だと思います。

　私自身応援している芸能人の方は多数存在います。応援しているからこそ、末長い活動が保障されるような場所に、芸能界というものがあってほしいと切に願います。

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