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生活困窮者の行政の対応②

先日また生活相談が舞い込みました。

●相談者の状況
70代(女性)・無保険状態で、高血圧。
最高血圧が常時200以上あり、慢性的な頭痛など自覚症状あり。

収入は国民年金のみで、国保は単独世帯だったが、孫と同居しており、
収入は自身の年金収入のみ、家計にあててようやく生活が成り立っている状態でした。

20代の孫と、その娘との3人暮らし。娘は出稼ぎにでているとのこと。
20代のお孫さんは日雇いの仕事をしており、昨年秋からの不況の影響で、いまは収入が半分以下になってしまっているとのことでした。
金融機関からの借り入れも相当の額にのぼっており、おばあさんの年金、娘の仕送り、孫の収入だけでは、借り入れの返済で精一杯で毎月の生活費すら満足に入ってこない状態でした。

●病気の治療に当たって
そんな生活状況の方でしたが、とりあえず高血圧の治療が最優先ということで、受診の運びとなりました。
ただ、高血圧のような慢性的な病気の場合には、定期的、継続的な治療が必要になります。
現在無保険の彼女の場合、医療費は全額負担になるために、一回の受診で、1万円ほどの支払いが求められることになってしまいます。
とてもじゃないですが、支払いが不可能なことは明白なので、さしあたって、市役所で国民健康保険の短期証を発行してもらうことにしました。
そして、短期証を発行してもらうついでに、医療費の一部負担金の減免制度、国民健康保険料の減免制度

●恣意的な短期保険証の期間の決定
国民健康保険の短期証明書は、とりあえず1000円の保険料を支払うことで1月分の保険証を発行してもらいました。
そして、前々から不思議に思っていたのは、病院の窓口で保険証を確認していると、短期保険証を提示する方のなかに、期間が半年の方もいれば、3ヶ月や2ヶ月、一番短い方で1ヶ月の方などさまざまな方がいらっしゃいます。この期間はいったい何によって決まるのかがずっと不思議でした。
 そのため、市役所の方に思い切って「短期保険証の期間は何によって決まるのですか?」と聞いてみると、保険料の支払額と保険料の滞納の状況によって変わってくるとのこと。それだけだと大雑把なので、明確な保険料や滞納期間について具体的な数字が決まっているのかを聞いてみると、明確な規定があるとのことでした。
 参考のためにその規定をいただけないかと聞いてみると、かなり出し惜しみをされ、しまいには「実際はこの規定どおりは運営されていない状況もあるんですが・・」と歯切れの悪い言葉を連ねて上で、ようやくいただけました。
 病院に帰ってからその規定を呼んでみると、実際は保険料の滞納月数のみが、短期保険証発行の期間を決める基準となっていました。
 驚いたのが、期間が一ヶ月の場合の用件についてこのように書かれていたことでした。

 「保険料の滞納が前年で4期以上あり、保険料を支払う意欲のない方」

 実際相談にいった方は滞納は2期のみであり、保険料だって、本当は支払いたいのに支払えず、市役所にもこの間保険料を支払いできないために謝罪にいくとともに、いつまでには支払うからと相談に足しげく通っていました。滞納も4期未満で、支払う意欲があることは市役所の方もわかっているはずなのに、なぜ今回発行された短期証は一月分なのか?おかしいといわざるを得ません。
 実際、病院で短期証を持参する方は、ほとんどが1か月のものです。ではそのすべてが、4期以上の滞納と、保険料を支払う意欲がないのか、そうとは思いません。
 市役所の方が最後にお話された「実際はこの規定どおりに運営されていない状況もあるんですが・・」という言葉の意味がようやくわかりました。
 
公の機関というのは、本当はこうした経済的に困難な方の生活を保障するためにあるのではないでしょうか。
それにもかかわらず、逆に困窮している方を追い詰めるような対応しかしていない現実の一端を見たような気がして、本当に恐ろしいことだと思いました。
本当に生活に困難を抱えている方のセーフティーネットになれるような、そんな行政であることを願います。





タグ:短期保険証
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