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総選挙の結果について②

『鳩山政権と新自由主義の行方』 渡辺 治 現代思想10月号より

【なぜ民主党だけが勝ったのか】
-民主党が地滑り的勝利をもたらした2つの力-
①新自由主義の矛盾がヨーロッパ諸国に見られないような非常に劇的なものとなり、構造改革政策を追い詰めた。

②自民党一党による政権では、安定した政治の継続が困難であり、自民党と民主党との政権交代によって、新自由主義を安定的に進めたいという声

この構造改革を辞めさせたいという声と、構造改革を安定的に運営したいという声の相反する2つの力が合流して、民主党の大勝を生んだ。

-新自由主義的構造改革を辞めさせたいという政治要求が現れた3つの分野-
①構造改革の矛盾が他国と比較して劇的な形で顕在し、これが自公政権の新自由主義改革を行き詰らせた。
→日本の場合は福祉国家でなく、企業社会と自民党の利益誘導政治を二本柱にした開発主義的な国家であった。
 そのため、通常の矛盾の爆発をはるかに超える格差と貧困が広がった。

②自民党の利益誘導政治によって恩恵を受けていた地方
→自民党の利益誘導政治は、グローバル競争化では、非効率産業の温存と企業負担の増大のため破壊の対象に。
③もともと貧弱であった社会保障制度も、高齢化などで支出が増大するに伴い、企業の法人税が増大するという理由のもとで、大胆な切り捨てに。


【新たな運動の興起】
そうした構造改革の矛盾が劇的に顕在化したために
①構造改革が矛盾を生み出したことがだれの目にもわかってしまった。
→アキハバラの事件が起こったときに、多くのマスコミが非正規労働の問題であると報じ、国民がそれに納得した。

②07年度参院選によって自民党の議席の激減という形で現れた。

③反貧困・反構造改革の運動が歴史上はじめて、大規模な形で展開されたこと。

上記の3つの点で、構造改革の矛盾がだれの目にも明らかになってしまっていた。

-反貧困・反構造改革の運動の新しい特徴-
①既存の労働組合運動を超えた、個人加盟のユニオンが数多く生まれた。
→既存の労働組合は正規労働者で構成されているので、非正規の問題に機敏に対応とれない限界があった。

②年越し派遣村のような新しい共同の形が探求された。
→これまでは、別々に行動していた、労働・社会保障・反貧困の運動が共同で行われるようになった。

③こうした運動が政治に対して意識的な働きかけを行っていること。

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