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福祉制度はどこへ向かうのか?

先日新聞を読んでいたら、厚生労働省の方で、今後の児童福祉については”里親”制度の拡充する方向をメインで進めていくということが書いてありました。

私自身児童福祉の分野についてそれほど理解しているわけではありませんが、正直この記事を読んで先行きが不安に思われました。

【高齢者福祉の現場では】 
 
 私自身、医療機関に勤めていることもあり、高齢者福祉については否が応でも情報が入ってきます。高齢者福祉については、それを支える一番の土台は介護保険制度にあると思います。
 しかし、介護保険制度については年々上昇する保険料、高すぎる利用料、理不尽に下げられる介護認定、そこで働く介護労働者の劣処遇など課題は山積みです。介護保険制度のサービスも近年”施設介護”から”在宅介護”へと重点が移行していますが、”住み慣れた家と家族・地域の中で最後の人生を過ごす”と言えば聞こえは良いですが、国の本音としては施設より在宅の方が公費負担が少ないという財政的な理由が一番の理由でしょう。
 ここには一貫として、基本的に国がいかに公費負担を少なくし、一般国民に負担を押し付けるか、その視点だけが貫かれているのだと考えます。


【障害者福祉の現場では】
 障害者福祉の現場でも基本的に同じ考えが貫かれています。障害者自立支援法が成立してからというもの、障害者の方々の生活は厳しくなりました。
 授産施設や作業所では労働に携わっているはずなのになぜか”利用料”なるものを徴収され、ヘタをすれば収入より支出の方が多くなってしまうという逆転現象すら起こります。
 施設では、民間企業への就職が無理やり推奨され、「働けるやつは民間企業で働け、甘えるな!」といわんばかりの政策です。
 結局、障害者施設への公費負担を極力抑えたいという魂胆が見え見えです。
 
 数年前に始まった特別支援教育についても、触れ込みは障害者と健常者が同じ教室で学ぶことができることや、軽度発達障害の子どもたちに手厚い支援が可能になるなど言われていましたが、それまで通常学級でも養護学級からも排除されていたグレーゾーンの子どもたちに支援が行き届くようになったという点ではよかったかもしれませんが、その政策を実現するための人員や予算の裏付けがなかったために、現在特別支援学校や学級では現場の教師の方々の献身的な努力によってようやく授業が成立しており、現場の教師の負担が顕著に表れている状況があります。


【児童福祉の現場でも】 そんな中で、今回、児童福祉についても里親制度の拡充が唄われているということで、私自身、里親制度自体を否定するつもりはまったくありません。しかし、結局のところ、児童福祉関連の施設への公的支出を減らして、里親に財政的・制度的支援なしに子どもを丸投げするのではないかと勘ぐってしまします。
 
 そもそも里親制度を利用する子どもの数は近年減少の一途をたどっています。海外では里親制度が主の国もあるそうですが、この日本でどのように里親を引き受けてくれる人を増やすのか、現在でも少ない里親への養育費を拡充するプランはあるのか、そういった見通しもしめさずに、ただ”家庭的な雰囲気の中で子どもを育てるのが一番良いことなんだ”という理想でこうした政策を実践することにならないようにしてほしいと切に願うところです。

 今の政府が福祉制度をどのように改変していくかといったことを見た時に、公費負担を減らし、国民に負担を丸投げするという方向性は一貫してみてとれます。こうした流れに与さずに、国が責任を持って福祉制度を充実する方向に舵を切っていくように、私たちが根気よく監視していくことは本当に必要な時代に来ているんだろうなって思うのです。


 
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