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朝鮮学校の学費無償化の問題について


鳩山政権は今週中にも、衆議院で、高校の学費無償化の法案を通そうとしています。このこと自体は、世界の他の多くの先進国では、既に無償化であること、現在高校生を子どもを持つ家庭の経済状況の悪化などの状況を考えると望ましい政策だと思います。
 
ただ気になるのが、「北朝鮮の拉致問題」などを理由に、「朝鮮学校を無償化しないように努めている。」(2/17 中井洽拉致問題担当相)などの発言があり、鳩山総理も「そのような方向性になりそうだ。」と発言していることです。政府の高校無償化法案は公立、私立の高校とともに「高校課程に類する各種学校」を対象にすると明記してあります。予算案にも朝鮮学校の他、ブラジルの学校や多国籍のこどもが通うインターナショナルスクールなども対象に入っています。実際朝鮮学校は朝鮮史や朝鮮語の授業以外は日本の学習指導要領に準拠した教科書が使われ国公立大学をふくむほとんどの大学が朝鮮学校の生徒の受験や入学を受け入れています。朝鮮学校の生徒の構成をみると、北朝鮮籍と韓国籍の学生が半分ずつで、日本人を含むその他の国籍の生徒も在籍しています。

 いったいなぜ朝鮮学校だけを無償化の対象から除外するのか。「拉致問題があるから」という理由で国民が納得するとでも思っているのでしょうか。それどころか、この無償化の除外は、朝鮮の方にたいする人種差別に他ならないのではないでしょうか。

 こうした問題が浮上するたびに思うのが、いったいこの子どもたちにどれほどの罪があるというのかとうことです。こどもは生まれてくる国や人種を選べません。仮にこの世の国や人種に優劣をつけたとして、もし子どもが恵まれない環境に生まれてきたとしてもそれは子どもが選択したわけではありません。子どもが自らの意思でどうしようもないことに対して“責任”を持たされるというのはどう考えてもおかしいと思います。
 
昨年には、保険証を持たない子どもが、医療機関に受診できない問題が話題になりました。親が保険料を支払えないからと子どもの保険証を取り上げる。いわずもがな子どものように所得能力のない存在に対してその責任をもとめるような実態に対して国民の批判が集中し、結局厚生労働省は、子どもに対しては保険料の支払の有無によって保険証が交付されないような実態をなくすように通達を出さざるを得ませんでした。

どちらの問題も、何の罪も責任能力のない子どもに対してあたかも責任があるかのような押し付けを貫く。本来はどちらの問題も、当事者のこどもや家庭にその責任が押し付けられるような問題ではなく、国や公的機関が率先して保障しなければならない問題であるはずです。それを「拉致問題があるから」「保険料を支払っていないから」と何の罪もない子どもやその家庭に責任を転嫁しているというのが実態ではないでしょうか。

 東京朝鮮中高級学校の高校3年生が卒業を前に取り組んだ無償化除外反対の街頭署名には2日間で5000人が取り組んだそうです。こうした素晴らしい学生に対して国は差別しようとしているのです。その事実をしっかりと見つめてほしいと思います。

 

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