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公設派遣村で起こっていたこと

 先日、NHKドキュメントで、湯浅誠さんが内閣参与としてとりくんだワンストップサービスと公設派遣村のドキュメンタリーが放送されていました。その内容が印象的であったので、書き記しておきたいと思います。
09年12月28日から10年1月4日まで、東京都のオリンピックセンターを利用して”公設派遣村”を実施されました。年末年始に生活総合相談を行う目的で東京都が実施したものですが、行政がこのような支援に踏み出したこと自体は意義のあることでしたが、その実態は課題が山積みでした。

 今回の”公設派遣村”に集まった人は当初の予想を大きく上回る900人の人が利用したとされています。放送では、その900名の利用者をなんとか救おうと、湯浅さんが公設派遣村の中で行政の方々相手に悪戦苦闘する姿が映されていました。ドキュメンタリーの中で派遣村の問題として放送されていたのが、
①一日目に施設内の相談コーナーに人が訪れない
②相談窓口での都の職員の対応が”聞き取り”に留まっており、相談になっていなかった。
ということでした。

 ①の一日目に施設内の相談コーナーに利用者が訪れないのは、実施側のお知らせが徹底していなかったことが原因でした。利用者はバスにのって、オリンピックセンターの割り当てられた宿泊施設内に入所はしましたが、生活相談を行っている事実や、その時間・場所についての情報がなかったため、訪れることができなかったということでした。この問題は湯浅さんが都の職員に、施設内に生活相談を行っていることについての詳細を放送するようによびかけることで、相談コーナーに利用者が訪れるようになり改善されました。
 
 ②の相談窓口での都の職員の対応が聞き取りにとどまっており、実質的な相談になっていなかったことについては、湯浅さんが利用者から、職員の対応への不満を聞き取ることで明らかになりました。湯浅さんが都の職員が取った利用者の面接票を見直してみると、それぞれの利用者に対して実質的な生活を再建していくプランがほとんど提案されてない事実が明らかになりました。そこで湯浅さんは自身がこれまで行ってきた生活相談のノウハウを生かして、実際に都の職員の前で利用者に対して相談と生活再建のプランを提案する姿を見せたりすることで改善していきました。

 最終的にすべての人に対して必要な生活相談ができなかったことに対して湯浅さんが悔やむ姿がありましたが、湯浅さん自身が述べたように、行政がこうしたことを実施したということの意義は大きいかと思います。


 ただ実態はもっと深刻でした、全日本民主医療機関連合会の共同組織の雑誌であるいつでも元気2010.3には、ドキュメンタリーでは放送されなかった事実が掲載されていました。
 そもそも、公設派遣村を行うという事実すら東京都は力を入れて行っていませんでした。おととしの旧派遣村を行った方々が集まって組織した「ワンストップサービスの会」が今回、公設派遣村を行うということを周知させる独自の取り組みがあったからこそ今回の結果が残せたという事実がそもそもありました。
 驚いたのが、今回派遣村を実施するに当たって、協力を申し出たワンストップサービスの会に、東京都が拒否的であったという事実でした。ワンストップサービスの会の生活相談や多重債務相談の達人たちは、休日返上で助っ人すると申し出ているにもかかわらず、敷地にも入れてもらえませでした。そこでワンストップサービスの会は「外」からできうる限りの支援に知恵を絞ります。門前で集会を2度実施。激励の言葉とともに、柵越に生活再建のノウハウ本を渡したり、生活保護制度を説明したりします。元旦からは施設前にバスを停め、車内を会場に生活保護申請などの生活相談を行う体制をとりました。しかしこれもスムーズにいかず、当日パトカーが陣取り、バスを止められない状況が起こりました。急遽バスを走らせながらの相談に切り替えたそうですが、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
 
 行政の公設派遣村の取り組みは1月4日以降は、「なぎさ寮」というプレハブに移され続いたが、30~40人が雑魚寝するようなところで、耐えられず路上に戻った人もいたそうです。医療体制も貧弱で、体調が悪い人が救急車を呼んだら「勝手に呼んだ、都は責任はとれない」と、なじられたとのこと。再三の要請で日中だけ看護師の配置がきまったが、結局死者が一人でてしまったとのことでした。

 いったい何のために都は派遣村を実施したのか、ただ面子をたもちたいだけで行ったそんな気がしてなりません。来年度にむけてこうした生活困窮者に対していかに取り組んでいくのかについて真剣に検討してほしいと思います。

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