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パフォーマンス化するこの社会

☆アメリカのシリア攻撃に関して

 4月6日夜、アメリカのトランプ政権は、シリア北西部イドリブ県で起きたサリンとみられる化学兵器の攻撃で少なくとも子供27人を含む72人が死亡したことを受け、シリアのアサド政権の関連施設に巡航ミサイルで攻撃しました。

すでに、シリアの民間人が多数死傷したことが報道されており、世界中から批判の声があがっています。

化学兵器の使用はもちろん許される行為ではありません。しかし、アメリカのトランプ政権は、事実検証もなく、国連安保理の決議もないまま一方的に攻撃を強行したことは、国際法にも反するものであり、シリアの内戦をさらに悪化させることにしかならないことは明白です。
これ以上の軍事攻撃は絶対に起こさないことを切に願います。


☆想定された帰結であったシリア攻撃

 今回のアメリカのシリア攻撃に関しては、トランプ大統領がこの間、IS壊滅のために、ロシアやアサド政権と協力関係を構築する方向性を示していた流れから見れば”寝耳に水”の出来事でした。

 しかし、もともと米国がアサド政権を敵視していたことや、トランプ政権自体が軍事政権ともいえる性格を持っていたことからみればそれほど不自然なことではないのかもしれません。

 現に、ニューズウイークによると、直近の2017年1-3月の間に、米国が率いる有志連合がシリアにおいて出している民間人の死者が急増していたことが報道されています。有志連合は、2016年1年の間に出した民間人の死者が537名であったのに対し、今年の1-3月の3か月だけで既に469人もの民間人の死者を出しており、IS殲滅が名目とはいえ、シリアに対する軍事的な強硬姿勢が今年に入りすでに強まっているのが明らかな状況でした。


☆トランプ政権による支持率回復のためのパフォーマンス

 しかし、問題なのはこのシリア攻撃がいったいどんな理由で、なぜこのタイミングで行われたかということです。

 真相が明らかになるのはこれからのことですが、私はその理由の一つとして、この間急激に落ち込んでいたトランプ政権による、支持率低下の打開策としてのパフォーマンスという目的があるのではないかと考えています。

 この間、トランプ政権の支持率は急速に落ち込んでいました。
インベスターズ・ビジネス・デイリー(IBD)とテクノメトリカ・マーケット・インテリジェンス(TIPP)が先週行った最新の調査によると、トランプ大統領の支持率は34%で、3月の44.1%か ら10.1ポイントと急落傾向を示しました。要因としては、この間のアメリカ大統領選に関するロシアの介入疑惑、そしてオバマケア代替法案の失敗などが主だった点だと思います。

 こうした中、トランプ政権は急落支持率に対する歯止めの打開策を求めていたわけですが、そんな中、シリアの生物化学兵器使用の問題は、”渡りに船”の出来事だったのではないでしょうか。

 ロシアとの協調を示しているシリアのアサド政権に対する軍事攻撃を行えば、ロシア疑惑について一掃することができますし、軍事攻撃の名目を「米国の安全保障上の死活的な利益にかかわる」と得意の「アメリカファースト」を謳えば、米国民からの求心力を高められる。今回のシリア攻撃にはそうした思惑があったのではないかと思うのです。


☆人命を無視したパフォーマンス主義-トランプ政権と安倍政権の共通項-

 もし、今回のトランプ政権によるシリア攻撃の理由がその通りだったとすれば、トランプ政権は自分たちの政治基盤の安定のためだけに、シリアの多数の民間人を犠牲にしたということになります。決して許されることではありません。

 「Post Truth」

 しかし、トランプ大統領自身が「何が真実かということではなく、大事なのは、有権者が何を見たいと思っているかだ。」と、嘘と欺瞞こそがトランプ政権の公式なプロパガンダということを隠さずに公言する中で、今回の人命を無視したパフォーマンスは、残念ながら必然の出来事だったといえるのかもしれません。

 こうした非道なトランプ政権のシリア攻撃に、安倍首相はすぐさま『支持』を表明。きわめて重大な態度だと言わざるをえないでしょう。

 私が気になるのは、こうしたトランプ政権の人命を無視した政権の利益が第一のパフォーマンス主義ともいえる態度でいえば、トランプ政権と安倍政権は極めて共通した性質を持っているように感じることです。

 具体例を挙げるのであれば、先日の南スーダンPKOからの自衛隊の撤退表明が挙げられます。
撤退表明する直前まで、安倍政権としては、自衛隊派遣の正当性を国会でも繰り返し正当化していたにも関わらず、森友学園問題で政権の支持率が急速に落ち込むや否や、一転して、南スーダンPKOからの自衛隊の撤退を表明。

 このことは、まさしく自衛隊員の命を無視した人命無視の政権の利益を最優先にしたパフォーマンスとしか言いようのない行動でした。

 アメリカと日本という、世界的にも影響力のあるこの2国の政権が揃って、人命軽視の政権の利益最優先のパフォーマンス主義にはしっている。このことに対してこれまでにない危機感を募らせているのは決して私だけではないでしょう。

 いまこそこうした無法な政権運営をストップさせる力が今国民の側に求められているのではないでしょうか。
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